「自社ECサイトを立ち上げたが、思ったように売れない」「広告費をかけているのに、利益が残らない」「ECモールでは売れているのに、自社サイトだと売上が伸びない」
自社ECを運営している企業の多くが、こうした悩みを抱えています。自社サイトが売れないのは、珍しいことでも、失敗でもありません。むしろ、売れないのには必ず構造的な理由があります。
本記事では、
なぜ自社サイトは売れにくいのか
ECモールと何が根本的に違うのか
自社サイトならではのメリット・デメリット
売れない状態から抜け出すための具体的な対処法
を、戦略・構造・実務の観点から体系的に整理します。
なぜ自社サイトは「売れない」と感じやすいのか
まず前提として押さえておきたいのは、自社サイトは構造上、最初から売れにくいチャネルであるという事実です。
これはネガティブな意味ではなく、ECモールと役割・前提条件が根本的に異なるためです。
多くの失敗は、この前提を理解しないまま「モールと同じ感覚」で自社サイトを運営してしまうことから始まります。
自社サイトが売れない主な理由
集客を「自然にできる」と誤解している
自社サイトが売れない最大の理由は、集客設計の甘さです。
ECモールでは、
モール自体の集客力
ランキング・検索導線
レビュー文化
といった仕組みによって、一定の「下駄を履いた状態」で販売できます。
一方、自社サイトにはその仕組みがありません。
広告
SEO
SNS
メルマガ・LINE
これらを戦略的に組み合わせて初めて集客が成立します。「サイトを作った=人が来る」という前提自体が誤りです。
商品・価格だけで勝負している
自社サイトでよくある失敗が、モールと同じ商品・同じ価格・同じ訴求をしてしまうことです。
しかし、ユーザー視点で考えると、
なぜ無名の自社サイトで買う必要があるのか
なぜモールではなく、ここで買うのか
という疑問が解消されていないケースがほとんどです。
自社サイトでは、「商品スペック」ではなく「購入理由」を作る必要があります。
顧客理解が浅いまま改善している
売れない自社サイトほど、
CVRが低い
広告のCPAが高い
リピートしない
といった「数字」だけを見て改善しがちです。しかし、本当に必要なのは、
なぜ買ったのか
なぜ買わなかったのか
どこで不安になったのか
という顧客の意思決定プロセスの理解です。顧客理解がないまま施策を積み重ねても、改善は点在し、売上向上の再現性が生まれません。
自社サイトの役割を定義できていない
自社サイトが売れない企業ほど、「自社サイトで何を達成したいのか」が曖昧です。
売上最大化なのか
ブランド構築なのか
顧客データ取得なのか
リピート促進なのか
すべてを一度にやろうとすると、どれも中途半端になります。自社ECサイトを実施している意味や目的を改めて設定しましょう。
ECモールと自社サイトの違いを理解する
自社サイトが売れない理由を考えるうえで、ECモールとの違いを正しく理解することは不可欠です。
| 観点 | 自社サイト | ECモール |
|---|---|---|
| 集客 | 自社で設計 | モール依存 |
| 信頼性 | 自前で構築 | モールの信用 |
| 価格競争 | 起きにくい | 起きやすい |
| データ | 自社資産 | 制限あり |
| 即効性 | 低い | 高い |
| 中長期価値 | 高い | 限定的 |
ECモールは「短期的に売る」のに強く、自社サイトは「中長期で育てる」のに向いています。
この違いを無視して、同じKPI・同じ期待値で比較すること自体が間違いです。
自社サイトのメリット・デメリット
自社サイトのメリット
顧客データを蓄積し、活用できる
自社サイト最大の強みは、顧客データを制限なく取得・分析できる点です。
購入履歴
行動データ
問い合わせ内容
リピート傾向
これらを活用することで、LTVを軸にした事業設計が可能になります。
ブランド価値を積み上げられる
自社サイトでは、
デザイン
コンテンツ
ストーリー
購入後体験
を通じて、ブランドを一貫して伝えられます。価格以外の理由で選ばれる状態を作れるのは、自社サイトならではのメリットです。
自社サイトのデメリット
成果が出るまで時間がかかる
自社サイトは、立ち上げてすぐに売上が伸びるチャネルではありません。
集客
改善
リピート設計
を積み重ねる必要があります。
運営の難易度が高い
広告、SEO、UX、CRMなど、求められるスキル領域が広く、属人的な運営になりやすい点はデメリットです。
自社サイトが売れない状態から抜け出す対処法
① 自社サイトの役割を明確にする
まずやるべきは、自社サイトの「役割」を定義することです。
新規獲得の場なのか
リピート育成の場なのか
ブランド体験の場なのか
役割が明確になると、やるべき施策・見なくていい数字が整理されます。
② 顧客理解を起点に設計を見直す
売れている自社サイトほど、顧客理解を徹底しています。
ユーザーインタビュー
購入理由の言語化
不安要素の洗い出し
これらをもとに、
商品ページ
導線
コンテンツ
を再設計することが重要です。
③ 集客とCVを分けて考える
多くの企業が、「集客が足りない=広告を増やす」という判断をしがちです。
しかし実際は、
来ているが、買われていない
不安が解消されていない
ケースも非常に多いです。
集客(流入)とCV(購入)を切り分けて考えることで、無駄なコストを防げます。
④ リピート設計を最初から組み込む
自社サイトは、初回購入だけで利益を出すモデルではありません。
メルマガ
LINE
定期購入
アフターフォロー
などを通じて、顧客との関係を継続的に作る設計が不可欠です。
自社サイトは「売る場所」と同時に「ブランドを育てる場所」
自社サイトが売れないと感じる背景には、短期的な成果を求めすぎているケースが多くあります。
自社サイトは、
顧客理解を深め
ブランドを育て
LTVを高める
ための事業資産です。
モールと同じ土俵で比べるのではなく、役割の違いを理解したうえで、戦略的に育てていくことが重要です。
まとめ
自社サイトが売れないのは、能力や努力が足りないからではありません。
前提理解のズレ
設計思想の不足
短期視点での判断
これらが原因であることがも多いです。
自社サイトの特性を理解し、顧客理解を起点に設計を見直せば、自社サイトは必ず「売れる可能性」を持っています。
まずは、なぜ売れないのかを構造的に理解することから始めてみてください。

























