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EC海外発送の方法・費用・業者比較|始める前に知っておくべき手順と注意点

ECサイトを運営していると「海外のお客様からも注文が来た」「海外向けの販売を始めたい」という状況に直面します。しかし「どの業者を選べばいいか」「費用はどれくらいかかるのか」「何を準備すれば発送できるのか」という疑問を持ちながら手が止まっている担当者は少なくありません。

この記事では、EC事業者が海外発送を始める際に知っておくべき方法・費用・業者比較を実務ベースで解説します。初めて海外配送に取り組む担当者が「次の月曜日から対応できる」状態になることを目的に書きました。

「どの業者が自社に合うかわからない」「海外発送のコスト構造を把握したい」といったご相談があれば、ぜひお気軽にご相談ください。▶ サービス紹介資料をダウンロードする(無料)

目次

EC海外発送の3つのモデルとそれぞれの適用場面

EC事業者が海外に商品を発送するには、大きく分けて3つのモデルがあります。自社の売上規模・対象地域・商品特性によって最適なモデルが異なるため、まずそれぞれの概要を理解することが出発点です。

モデルの選択を誤ると、コストが過大になったり、配送スピードが顧客期待に届かなかったりします。最初の選択がその後の運用コストと顧客体験を大きく左右するため、ここは丁寧に確認してください。

モデル①:個別直送(最もシンプルな始め方)

注文を受けるたびに日本から直接海外の顧客に商品を送る方法です。日本郵便EMS・ヤマト国際宅急便・DHLなどを使い、1件ずつ発送します。

倉庫や海外拠点の初期投資が不要なため、最初の段階で選ばれやすいモデルです。

メリットは在庫リスクを最小化できることです。海外顧客がどの程度集まるか分からない段階でも、売れた分だけ国内在庫から発送するため、余剰在庫が生じません。

デメリットは件数が増えると担当者の作業負荷が高くなり、1件あたりの送料が割高になりやすい点です。

月間発送件数が20〜30件以下の段階では、個別直送が最も合理的な選択です。越境ECの実務を始めながら実際の受注パターンを把握し、次のモデルへの移行タイミングを見極める期間として活用できます。

モデル②:発送代行サービスの活用

国際物流代行会社に商品の保管・梱包・発送・通関手続きを委託するモデルです。代行会社が各配送業者と大口契約を締結しているため、自社で発送するよりも送料が安くなるケースがあります。

また担当者が個別に各社と交渉・契約する手間が省けます。

月間発送件数が30〜50件を超えてきた段階で、発送代行への移行を検討する目安になります。特に「発送作業に毎週数時間以上かかっている」「複数の配送業者を使い分けたい」という場合は、代行活用で費用対効果が改善しやすいです。

モデル③:海外倉庫(保税区モデル)

事前にまとまった量の商品を海外倉庫に輸送しておき、個別注文を受けた段階で現地から配送するモデルです。「一括輸送コスト」と「現地配送コスト」の組み合わせになるため、大量販売時にはコストが大幅に下がります。

また配送リードタイムが国内配送並みになるため、顧客体験が向上します。

対象地域への月間発送件数が100件以上・商品がロングセラーで需要が安定しているという条件が揃った段階で検討を始めるモデルです。初期投資と在庫管理の負荷が増えるため、見極めなく踏み込むと固定費過大になります。

主要配送業者の料金・日数・特徴比較

日本から海外に荷物を送れる主要業者は、大きく「国際郵便(日本郵便)」「国内宅配会社の海外サービス」「海外国際宅配便(DHL・FedEx・UPS)」の3種類に分かれます。それぞれに得意な荷物のサイズ・価格帯・スピードがあります。

以下の比較は東京発・アメリカ宛・重量5kgという条件での目安料金です。実際の料金は配送先国・荷物のサイズ・燃料サーチャージ・補償オプションなどで変動するため、必ず各社の公式見積もりで確認してください。

日本郵便(EMS・航空便・船便)

日本郵便はEMS(国際スピード郵便)・航空便・船便の3プランを提供しています。同条件(東京→アメリカ、5kg)での料金目安はEMSが約15,100円・航空便が約14,200円・船便が約5,400円です。

配送日数はEMSが12日・航空便が14日・船便は2〜3ヶ月と大きく異なります。

日本郵便の強みは「内容品価格が20万円以下の荷物は輸出申告なしで発送できる」ことです。輸出申告手続きの知識がない担当者でも手続きが比較的シンプルなため、海外発送の入口として選ばれやすいです。

重量上限はEMSで30kg・最大辺長1.5mです。

デメリットはクーリエ業者(DHL・FedEx・UPS)と比べて追跡精度が低いことと、配送完了まで時間がかかりやすいことです。コスト優先・スピードは二の次という条件に合います。

ヤマト運輸(国際宅急便)

ヤマト運輸の国際宅急便は200を超える国・地域に対応し、同条件(5kg・アメリカ宛)の料金目安は約6,300円・配送日数は4〜6日です。主要業者の中でコストとスピードのバランスが最も取れているサービスです。

注意点として、一部の国では「法人名義・会社使用目的」での通関しか対応していないため、個人使用目的の配送ができない地域があります。中国・カナダ・メキシコ・ブラジルなどが対象です。

対象地域への発送を検討する際は、ヤマト公式の「個人配送不可国一覧」で事前に確認することが必要です。サイズ上限は3辺合計160cm・重量25kgです。

佐川急便(飛脚国際宅配便)

佐川急便は世界220カ国に対応し、同条件での料金目安は約18,590円・配送日数は2〜5日です。ヤマト運輸と比べると価格は高いですが、サイズ上限が3辺合計260cm・重量50kgとヤマトより大きく、大型商品の発送に対応できます。

個人配送の対象外はロシアとブラジルのみのため、ヤマトが個人配送不可としている国への発送で活用されるケースがあります。小型・中型の商品はヤマトの方がコスト面で有利なため、大型商品または特定地域向けの選択肢として位置付けるのが現実的です。

DHL(DHL Express Worldwide)

ドイツに拠点を置く国際配送専門業者で、228以上の国・地域に対応しています。同条件での料金目安は約45,030円・配送日数は2〜4営業日です。

自社で飛行機を所有しているため安定した配送品質と高い追跡精度が特徴です。

越境ECで複数件を継続的に発送する場合、大口契約によって単価が下がります。個人事業主の届出と事前登録が必要なため、単発・少量での利用には向きません。

梱包資材を無料で提供してもらえる点も、発送現場では実用的なメリットです。重量上限は1梱包70kg・1運送状3,000kgです。

FedEx(FedEx International Priority® Express)

アメリカの国際配送会社で220以上の国・地域に対応しています。同条件での料金目安は約38,050円・配送日数は1〜3営業日と主要業者の中で最速水準です。

特定のアジア地域・米国・カナダ・ヨーロッパ向けは、午前10:30または正午までの時間指定配達が可能なサービスもあります。

10kgボックス・25kgボックスという定額料金プランがあり、これを使うと重量単価よりも割安になります。大きめの商品を一定量発送する場合は、このボックスプランとの併用が費用対効果を高める手段です。

DHL同様、個人事業主登録と大口契約手続きが必要です。

UPS(UPS Worldwide Express)

アメリカの国際配送会社で200カ国以上に対応しています。同条件での料金目安は約47,850円・配送日数は1〜3営業日です。

以前ヤマト運輸と業務提携した歴史があり、ヤマトの発送サービスの一部にUPSが利用されています。

FedExと同様に10kg・25kgの定額ボックスプランがあり、中小EC事業者向けプランも用意されています。DHL・FedExと比べると日本での認知度はやや低いですが、配送品質は同等水準です。

3社をコスト比較しながら使い分ける選択肢として持っておくことをお勧めします。

業者別のサービスを一覧で比較する

東京発・アメリカ宛・重量5kgという条件での各業者の特徴を整理します。料金は目安であり、荷物のサイズ・補償オプション・燃料サーチャージによって変動します。

EMS(日本郵便)は約15,100円・12日が目安で、個人事業主の登録不要で手軽に使える反面スピードは他の手段より遅めです。ヤマト国際宅急便は約6,300円・4〜6日で、コストとスピードのバランスが最も取れているサービスです。

佐川飛脚国際宅配便は約18,590円・2〜5日です。ヤマトより価格は高いですが、サイズ上限(3辺合計260cm・50kg)が大きく、大型商品の発送に対応できます。

DHL Expressは約45,030円・2〜4日で、安定した追跡精度と自社航空機による確実な配送が強みです。

FedEx International Priority® Expressは約38,050円・1〜3日で、時間指定配達サービスが使える地域では最速水準の配送が可能です。UPS Worldwide Expressは約47,850円・1〜3日で、中小EC向けの特別プランも存在します。

日本郵便の船便は約5,400円と最安ですが、配送完了まで2〜3ヶ月かかります。

この料金差からわかるように、クーリエ3社(DHL・FedEx・UPS)は日本郵便やヤマトの3〜7倍程度のコストになります。ただしスピードと追跡精度が求められる商材や、大口割引が適用される件数規模では、コスト差が縮まります。

初めて海外発送を始める段階では、まずヤマトか日本郵便EMSで実態を把握することを勧めます。

容積重量の計算方法を理解する

FedEx・DHL・UPSでは「実際の重量」と「容積重量」のうち重い方が料金計算の基準になります。容積重量は「縦cm × 横cm × 高さcm ÷ 5,000」で計算します。

たとえば60cm × 40cm × 30cmの箱の容積重量は14.4kgです。

実重量が2kgでも容積重量が14kgなら、14kgの料金が適用されます。軽くてかさばる商品(衣類・ぬいぐるみ等)では容積重量が実重量を大幅に超えるため、コスト計算時に容積重量を必ず確認してください。

梱包サイズを最小化することが、クーリエ利用時のコスト削減の直接的な手段になります。

関連記事:ECサイトの送料設定戦略|送料無料ラインの決め方と利益を守る設計

業者選びの3つの判断基準

多くの業者の中から自社に合った業者を選ぶには「コスト・スピード・荷物規模」の3軸で考えることが有効です。どれを最優先にするかによって最適な業者が変わります。

実際の現場では「コストを最優先に始めたが、配送遅延でクレームが増えてスピード重視に切り替えた」というパターンが多いです。想定している顧客層が配送スピードに対してどれくらい許容度があるかを確認してから業者を選ぶことが、後工程のトラブルを減らします。

判断軸①:コスト優先の場合

コストを最も優先したい場合は、日本郵便の船便(アメリカ宛5kgで約5,400円)またはヤマトの国際宅急便(同約6,300円)が選択肢の中心になります。配送完了まで時間がかかることを顧客に事前に伝えることが前提条件です。

Tシャツ・雑貨・書籍など「届くまでの時間より価格」を優先する商品には船便が合います。逆に「期待通りの速度で届かなかった」というレビューがつきやすい商品には、コスト優先で業者を選ぶことでブランド毀損リスクが生じます。

商品の性質と購入者属性を考慮した判断が求められます。

判断軸②:スピード優先の場合

配送スピードを最優先したい場合はDHL・FedEx・UPSの3社が候補になります。いずれも1〜3営業日での配達が可能で、自社所有の航空機による安定した配送品質が強みです。

料金はヤマト・日本郵便の2〜5倍程度になりますが、急ぎの注文・ギフト需要・鮮度が求められる商品には価値があります。

これらのクーリエ業者は個人事業主の届出と事前登録が必要なため、すぐに使いたい場合は早めに手続きを進めることをお勧めします。登録から実際に使えるようになるまで数日〜数週間かかるケースがあります。

判断軸③:荷物規模で選ぶ

1件あたりの荷物の重さやサイズによって、最適な業者が変わります。1kg以下の軽量・小型商品には日本郵便の国際eパケット(5〜10日・料金2,000円前後)が最もコスト効率が高いです。

1〜5kg程度の中型荷物はヤマト国際宅急便かEMSが選択肢の中心です。

10kg超の大型荷物・大量発送の場合はDHL・FedExの定額ボックスプランか佐川の飛脚国際宅配便が選択肢になります。また「月間発送件数が50件以上・特定業者に集中できる」場合は、発送代行会社経由での大口契約を交渉することで単価を下げられる可能性があります。

発送先国ごとの業者適性マップ

配送先の国によって業者の得意・不得意があります。アメリカ・カナダ向けはFedEx・UPSが強みを持ちます。

ヨーロッパ向けはDHL・FedExが高い信頼性を持ち、EU圏の通関手続きに慣れています。アジア(中国・韓国・台湾・東南アジア)向けはヤマト国際宅急便が価格と速度のバランスで選ばれやすいです。

中国向けは「ヤマト国際宅急便が個人配送不可」という制限があります。中国の個人顧客への発送は日本郵便EMSまたはDHLが選択肢になります。

また、発展途上国や島嶼部への配送は業者によって対応国が大きく異なるため、出店先の顧客層が集中している地域で業者の対応可否を先に確認してください。

商品別の業者選定の考え方

食品・生鮮品は多くの業者で禁制品または制限品になっています。冷凍・冷蔵品を海外に送ることは難しく、通常の国際発送では対応できません。

食品を扱う場合は、対応している専門の国際冷凍物流会社への相談が必要です。

リチウム電池を含む電子機器は、航空危険物に該当するため規制が厳しいです。バッテリー内蔵のデバイスは業者ごとに輸送可否・容量制限が異なります。

スマートフォン・PC・モバイルバッテリー等を扱う場合は、利用業者に個別確認することが鉄則です。化粧品はアルコール含有率によって航空輸送制限があります。

送る前に成分確認と業者への事前問い合わせが必要です。

アパレル・雑貨・書籍は制限が比較的少なく、海外発送の入門商材として扱いやすいです。まず制限の少ない商品カテゴリで海外発送を試し、オペレーションを整えてから対象商品を拡大するアプローチが失敗しにくいです。

海外発送を始める前に準備すること

海外発送を始めるには、配送業者の選定とは別に「書類の準備・禁制品の確認・関税の把握」という3つの準備が必要です。この準備が整っていないと、発送直前に止まったり、現地で荷物が差し戻されたりするリスクがあります。

越境ECの初心者が最初につまずくポイントの多くは、この準備段階の見落としです。EC専門家の動画でも「インボイスの書き方を知らずに発送して通関でトラブルになった」という実例が多く報告されています。

実際に発送する前に、一度フローを確認する時間を取ることをお勧めします。

必須書類:インボイスと税関告知書

海外発送に必要な書類は「送り状(ラベル)+インボイス」が基本です。インボイスとは「この商品を輸出します」という内容を記載した仕入書のことで、手書きは禁止されているため各配送会社のフォーマットを使います。

インボイスに記載が必要な項目は「差出人と受取人の正確な住所・氏名」「商品の具体的な品名(「生活用品」などの曖昧な記述は不可)」「単価・数量・合計金額」「原産国(Made in Japan等)」「通貨の明記(JPYまたはUSD等)」です。日本郵便の場合はさらに「税関告知書」が必要になります。

インボイスの内容が不正確だと現地通関で差し止めが発生します。特に「品名の曖昧な記載」と「申告価格が実際の販売価格と大きく乖離している」ケースはトラブルになりやすいです。

記載は正確に・商品の実態通りに書くことが鉄則です。

業者ごとの禁制品を事前確認する

海外に送れない禁制品は業者によって異なります。共通して禁止されているのは航空危険物(スプレー・電子タバコ・モバイルバッテリー等)・現金・麻薬類・武器です。

加えて各業者固有の制限があります。

日本郵便はアルコール度数24度以上の飲料・マニキュア・花火などが禁制品です。ヤマト運輸はさらに乳製品・生鮮食品・健康食品・動植物全般も禁止しています。

DHL・FedEx・UPSは動物関連・現金・麻薬に加え、各社が危険と判断した品物が対象です。

自社商品が禁制品に該当するかは、発送する業者の公式サイトで必ず確認してください。「送れると思っていたら禁制品だった」という確認不足は、業者の信頼を損なうだけでなく、顧客への対応コストも発生します。

特に化粧品・健康食品・リチウム電池を含む電子機器は、業者ごとの制限を詳細に確認する必要があります。

関税の仕組みと顧客への事前説明

海外に商品を送ると、受取国の輸入関税が発生することがあります。関税率は国と商品カテゴリによって異なり、発送側では事前に正確な金額を伝えることが難しいです。

EC担当者として押さえておくべきは「誰が関税を負担するか」という取り決めです。一般的にはDDP(荷送人負担)かDDP(受取人負担)かをサイトに明示することで、購入後のトラブルを防げます。

「関税は受取人負担です」という表記がない場合、予期せぬ関税請求に驚いた顧客からクレームが来るケースがあります。

燃料サーチャージも費用変動の要因です。DHL・FedEx・UPS等のクーリエ業者は定期的に燃料サーチャージを改定しており、見積もり時の料金が発送時に変わっていることがあります。

継続的に発送する場合は月次で料金改定の確認を習慣にすることをお勧めします。

Shopifyを使った海外発送の自動化設定

Shopifyを運営している場合、多言語・多通貨対応の設定と海外向け送料設定を組み合わせることで、海外顧客が購入しやすい環境を整えられます。送料設定は「配送プロファイル」から国別・重量別に設定でき、一定金額以上で送料無料にする条件も国ごとに設定できます。

Shopify Marketsを使うと、対象国向けの価格表示通貨・言語・関税の自動計算(DDP設定)が管理できます。海外顧客への関税の透明化はカート離脱率の低下に直結するため、初期設定の段階で整えることを推奨します。

ShipandcoやShipbobなどの発送管理アプリと連携するとインボイスの自動生成・業者比較が効率化されます。

海外向け返品・交換ポリシーの整備

海外からの返品・交換は国内と比べて物流コストが高く、時間もかかります。海外向けには「返品不可・不良品のみ対応」という明確なポリシーを設定するEC事業者が多いです。

このポリシーをサイトに明記することで、返品を前提とした購入を減らせます。

不良品・破損品への対応方針も事前に決めておくことが必要です。「再送する」「返金する」「現地での処分を許可する」のいずれを選ぶかによって、オペレーションが変わります。

返品送料が高額になる商品(大型・重量物)は「返送不要・返金対応」とすることで、顧客満足と物流コストのバランスを取りやすくなります。

海外発送代行サービスを活用するタイミング

自社で海外発送を運用していると、ある段階から「作業量と費用のバランスが合わなくなる」タイミングが来ます。発送代行への切り替えを検討すべきサインと、代行活用のメリット・デメリットを整理します。

発送代行に切り替えることで「送料の低減」と「業務負荷の軽減」の両面が期待できます。一方で代行手数料と最低出荷件数の設定がある場合もあるため、自社の件数規模で費用対効果が出るかを事前に確認することが必要です。

代行への切り替えを検討すべき3つのサイン

第1のサインは「月間発送件数が30件を超えた段階」です。件数が増えるほど発送作業・インボイス作成・問い合わせ対応の作業量が積み上がります。

30件超から担当者の工数が週5時間以上になるケースが多く、時給換算すると代行委託の方が安くなることがほとんどです。

第2のサインは「複数の配送業者を使い分けたいが比較・管理の手間が大きい場合」です。代行会社は各業者と大口契約を持っているため、商品・配送先・重量ごとに最安業者を自動で選定してくれるサービスもあります。

第3のサインは「配送トラブル(紛失・破損・遅延)への対応が負荷になってきた場合」です。代行会社はトラブル対応の専門ノウハウを持っており、国際配送特有の問題(通関トラブル・紛失時の補償手続き等)を代わりに対処してもらえます。

担当者が本業のEC運営に集中できる環境が整います。

発送代行サービスを選ぶポイント

発送代行サービスを選ぶ際に確認すべき項目は5つです。第1に「対応できる配送先国の範囲」です。

自社が販売したい国に対応しているかを確認します。第2に「1件あたりの費用構成」です。

初期費用・月額固定費・梱包料・送料実費の組み合わせで総コストが変わります。

第3に「最低出荷件数の設定」です。一定件数を下回ると追加費用が発生する契約もあります。

月間件数が安定しない段階では最低保証のない業者を選ぶ方が安全です。第4に「使用する発送システム・APIの連携性」です。

自社のECカートやWMSとの連携がスムーズかを確認します。

第5に「トラブル時のサポート体制」です。国際配送では紛失・通関トラブル・破損が発生します。

問い合わせへの対応速度・補償の適用範囲・再発送対応の有無を事前に確認することが、導入後のリスクを下げます。複数社から見積もりを取り、少量試験発送で品質を確かめてから本格移行することを勧めます。

越境EC市場規模と海外発送を始めるタイミング

世界の越境EC市場は2021年時点で7,850億ドル程度とされており、2030年には7兆9,380億ドルに拡大すると予測されています。日本製品は「品質の高さ・安全性・独自性」という評価が海外市場で定着しており、特にアジア・北米・ヨーロッパでの需要が高まっています。

越境ECに取り組むタイミングとして多くのEC事業者が選ぶのは「国内ECがある程度安定した売上を持つようになった段階」です。国内オペレーションが整っていない段階で海外展開を始めると、国内・海外の両方で品質が落ちるリスクがあります。

まず国内をしっかり固め、海外はテスト的に始めて手応えを確かめながら拡大する設計が現実的です。

海外発送コストを下げる5つの実践手順

海外発送を継続するにつれて「送料が利益を圧迫している」という悩みが出てきます。コスト構造を理解して適切な対策を取ることで、送料を抑えながら顧客体験を維持できます。

コスト削減の効果が出るまでには一定の取り組み期間が必要です。すぐに結果が出ないからといって手を止めず、データを見ながら継続的に改善するアプローチが重要です。

手順①:梱包サイズを最適化する

クーリエ業者(DHL・FedEx・UPS)は容積重量が基準になることが多く、梱包サイズが大きいほどコストが上がります。過剰な緩衝材・大きすぎる外箱は容積重量を増やし、送料を無駄に押し上げます。

商品ごとに最小限の梱包サイズを設計することが、継続的な送料削減につながります。衝撃・湿気への保護基準を維持しながら「必要最小限のサイズ」を定めた梱包規格を作ることを推奨します。

月間発送件数が50件以上になった段階で、梱包規格の見直しを行うと効果が可視化しやすいです。

手順②:複数業者を使い分ける

一つの業者にすべての発送を集中させるより、配送先国・荷物の重量・スピード要件に応じて業者を使い分ける方が総コストを下げられます。たとえばアジア向けはヤマト国際宅急便・北米向けはFedEx・重量物はDHLという分担が一例です。

複数業者を管理する際はShipandcoなどの発送管理ツールを使うと、業者比較・発送手続き・追跡番号の管理が一元化できます。ツールの月額費用よりも送料削減の効果が大きい場合が多く、月間発送件数が30件を超えた段階で導入を検討する価値があります。

手順③:送料の一部を商品価格に転嫁する

海外発送の送料を完全に自社負担にすると、利益率が急激に悪化します。商品価格に送料相当額の一部を組み込む「込み価格設計」か、送料を別途請求する設計かを、商品特性と顧客層に合わせて選ぶを心がけるです。

高単価・高付加価値の商品(1件3,000円以上)は送料を込みにしても利益が確保しやすいです。低単価商品は送料別途表示か、一定金額以上で送料無料にする「送料無料ライン」設計が有効です。

競合他社の送料設定を確認し、自社が大幅に高い場合は顧客離脱の原因になるため見直しが必要です。

手順④:大口割引を取得する

DHLやFedExは法人契約の件数・金額によって割引率が変わります。月間発送件数が50件を超えた段階で、各社の営業担当に「現在の発送実績を見せて割引交渉する」ことを試みてください。

交渉前よりも10〜30%程度の送料削減が実現するケースがあります。

発送代行会社を経由すると、代行会社がすでに取得している大口割引を間接的に享受できます。自社単独では交渉が難しい段階でも、代行会社経由で安い単価を使えるため、件数が少ない段階での発送代行活用の主要なメリットです。

手順⑤:海外倉庫への移行タイミングを見計らう

特定の地域への発送件数が月間100件以上・同じ商品群が継続的に売れているという状況が整ったら、現地倉庫への移行を検討します。一括輸送コストと現地配送コストの合算が、個別直送コストを下回るタイミングが移行の判断基準です。

移行前に「現地倉庫の保管料・在庫廃棄リスク・通関コスト」も含めた総コスト計算を行うことが必要です。表面上の送料だけを比較して移行を決めると、想定外の固定費が発生することがあります。

試算を入念に行ってから意思決定することを推奨します。

海外発送開始後のトラブル対応と継続改善

海外発送を始めると、国内発送では起こらないトラブルが一定の頻度で発生します。あらかじめ対応方針を決めておくことで、トラブル発生時に迅速に動けます。

特に初めて海外発送を始めた段階では、予期しないトラブルに慌てて誤った対応をしてしまうことが多いです。よくあるトラブルのパターンと対応手順を社内でドキュメント化しておくことが、チームとしての対応品質を安定させます。

よくあるトラブルとその対応方法

最も多いトラブルは「配送遅延」です。海外では通関の遅れ・天候・輸送ルートの変更によって予定日を大幅に超えることがあります。

顧客に事前に「目安の配送日は変動することがある」と伝え、追跡番号を提供しておくことが基本的な対策です。

通関で荷物が止まるケースもあります。受取国の輸入規制に引っかかった場合や、インボイスの内容が不十分な場合に発生します。

このケースでは受取人側の通関手続きが必要になることもあるため、対応方法を英語で説明できるテンプレートを用意しておくことが役立ちます。また受取国が商品を禁制品と判断した場合は、荷物が廃棄されることもあります。

荷物の紛失・破損は一定の確率で起きます。事後対応として「補償申請の手順・必要書類の準備・顧客への再送または返金の判断基準」を社内ルール化しておくことで、トラブル発生時の対応時間を短縮できます。

補償申請には受取人からの被害証明が必要なため、受取人に写真撮影を依頼するフローを準備しておくことを勧めます。

顧客体験を継続的に改善するデータ収集

海外発送の品質改善には「配送関連のデータ収集」が欠かせません。記録すべき指標は「配送日数の実績(業者別・地域別)」「クレーム・問い合わせの件数と内容分類」「配送関連の返品率」の3つです。

これらのデータを月次でまとめることで「どの業者・どの地域でトラブルが多いか」「配送日数が長いことで購入を躊躇している顧客がいないか」という改善ポイントが見えてきます。海外発送は一度設定したら終わりではなく、継続的なPDCAが必要な領域です。

データを根拠にして業者変更・ポリシー変更・コスト見直しを行う習慣を作ることが、長期的な競争力につながります。

海外発送の設定でよく見落とされるポイント

海外発送の準備を進める中で、後から気づいて修正を余儀なくされるポイントがあります。事前に把握しておくことで、スタート後のトラブルを減らせます。

特に「最初から完璧に整えようとして動き出せない」という状態を避けるを心がけるです。まず小さく始めて、問題が起きたら修正する姿勢が海外発送の実務では現実的です。

ECサイトの多言語・多通貨対応

海外からのアクセスがある場合、英語表記と現地通貨での価格表示があると購入率が上がります。日本語・円のみのサイトでも購入してくれる顧客はいますが、英語表記があるだけでカート放棄率が下がるという実績が複数報告されています。

ShopifyのMarketsやBASEの海外向け設定機能を使うと、商品ページの英語翻訳・通貨換算・配送先国の設定が管理できます。すべてのページを完璧に翻訳する必要はなく、まず商品ページ・カートページ・送料ページの英語化から始めることで費用対効果が出やすいです。

海外向けのカスタマーサポート体制

海外顧客からの問い合わせは英語で来ることがほとんどです。英語での返信テンプレートを用意しておくことで、対応時間を短縮できます。

特に「注文の確認」「配送状況の確認」「返品・交換のポリシー説明」の3種類のテンプレートが最低限必要です。

時差への対応も海外顧客体験に影響します。対応時間をサイトに明示しておくことで「なぜ返信が遅いのか」という不満を事前に防げます。

即座の返信が難しい場合は自動返信メールで「〇営業日以内に返信する」と伝えることが顧客の不安を減らします。

Shopify以外のプラットフォームでの海外発送設定

BASE・MakeShop・カラーミーショップなどの国内ECカートでも海外発送は可能です。ただし各プラットフォームによって多通貨対応・海外向け送料設定の機能差があります。

自社が使っているプラットフォームの海外向け設定画面を確認し、不足している機能がある場合は別途ツールで補完する設計が必要です。

楽天市場・Yahoo!ショッピングでの海外向け販売は、プラットフォーム側の対応方針に依存します。2026年現在、楽天グローバルマーケットを通じた海外販路拡大の取り組みも進んでいます。

モール出店者は各プラットフォームの海外販売ガイドラインを確認することで、機会を見逃さないようにしてください。

よくある質問

Q: 海外発送で一番安い業者はどこですか?
A: 荷物の重量・配送先・スピード要件によって異なります。1kg以下の軽量商品なら日本郵便の国際eパケット(2,000円前後)が最もコスト効率が高いです。

中型(1〜5kg)はヤマトの国際宅急便が料金とスピードのバランスが良い選択肢です。大型・大量発送にはDHL・FedExの定額ボックスプランや発送代行経由の大口契約の方が割安になるケースがあります。

まず自社商品の重量・サイズと発送先地域を整理してから比較してください。

Q: インボイスはどうやって作ればいいですか?
A: 各配送業者の公式サイトでフォーマットが提供されています。記載必須項目は「差出人と受取人の正確な住所・氏名」「具体的な品名(曖昧な記述は不可)」「単価・数量・合計金額」「原産国」「通貨の明記」です。

ShipandcoやShipbobなどの越境EC発送管理ツールを使うと、注文データからインボイスを自動生成できるため、件数が増えてきた段階での導入を検討してください。

Q: 海外発送で禁制品の確認はどこでできますか?
A: 各業者の公式サイトに禁制品一覧が掲載されています。日本郵便は「国際郵便として送れないもの」(post.japanpost.jp)、ヤマトは「国際宅急便で送れないもの」(kuronekoyamato.co.jp)、DHLは「DHL Express 禁制品目」(mydhl.express.dhl)で確認できます。

化粧品・健康食品・電子機器(リチウム電池含む)は業者ごとに扱いが異なるため、必ず利用する業者のページで個別確認することをお勧めします。

Q: 関税が発生した場合、誰が払うのですか?
A: 基本的には受取人(購入者)が支払います。ただし発送者側がDDP(Delivered Duty Paid)を選択した場合は送り主が関税を負担します。

ECサイトではこのルールを商品ページや送料ページに明示しておくを優先です。「関税は受取人の負担となる場合があります」という注意書きがないと、関税請求に驚いた顧客からのクレームが発生します。

Q: DHL・FedEX・UPSを使うには登録が必要ですか?
A: はい、カスタマーサポートへの問い合わせと個人事業主の届出が必要です。登録から実際に利用できるまで数日〜数週間かかることがあります。

海外発送を急いで始めたい場合は、まず日本郵便かヤマトで対応しながら、並行してDHL等の登録手続きを進めるという段階的な進め方が現実的です。

Q: 配送中に荷物が紛失・破損した場合はどうすればいいですか?
A: 各業者に補償申請を行います。日本郵便EMSは2万円相当まで無料補償があります。

DHL・FedEx・UPSは宣言価値に基づく補償があり、申請には受取人からの被害報告・写真・インボイスのコピーが必要です。紛失・破損のリスクを踏まえ、高額商品の発送時は補償オプションに加入することをお勧めします。

発送代行を使っていれば、代行会社がトラブル対応を引き受けてくれる場合もあります。

Q: 発送代行サービスはどのくらいの費用がかかりますか?
A: 代行手数料は1件あたり数百円〜数千円が相場です。ただし各社の料金体系が異なり、「初期費用・月額固定費・1件あたりの作業費・送料実費」の組み合わせになっています。

月間発送件数・商品重量・梱包の複雑さによって総コストが変わるため、複数社から見積もりを取って比較することをお勧めします。

海外発送を始めると、最初は「手続きが複雑」という印象を受けることがあります。しかし一度基本のフローを作ってしまえば、国内発送と同様にルーティン化できます。

インボイスのテンプレート・業者の選定基準・トラブル対応のフローを文書化しておくことで、担当者が変わっても品質が維持できる仕組みを作れます。

越境EC市場は今後も拡大が見込まれており、日本からの商品への需要は特にアジア・北米・欧州で高まっています。国内市場だけでなく海外へのチャネルを持つことで、売上の安定性と成長余地が広がります。

まずは小さく始めて実績を作り、段階的に拡大する姿勢で取り組むことを勧めます。

海外発送で実際に動いてみると「準備段階で想像していたよりも手続きがシンプルだった」という感想を持つ担当者が多いです。最初の1件を発送する体験を積むことで、フローの理解が一気に深まります。

インボイスの書き方・業者の使い方・追跡方法を実際に試してから、量を増やす設計で進めてください。

海外顧客からの口コミやレビューは、国内ECとは別のチャネルで新規顧客の信頼形成に役立ちます。海外発送を通じて商品の品質が海外でも評価されると、日本国内の購入者への信頼性向上にも波及します。

越境ECは「もう一つの市場を開く」施策であり、単純な売上拡大以上の価値を持つ取り組みです。

海外発送の実務は、一度仕組みを作ると運用コストが大幅に下がります。最初の10件・50件・100件と段階を踏んで改善を重ねることで、担当者の習熟度が上がり、トラブルへの対応も早くなります。

国際配送という新しい領域を自社のオペレーションに組み込む取り組みとして、長期的な視点で進めてください。

まとめ

EC海外発送は、自社の発送規模・対象地域・商品特性に合った業者とモデルを選ぶことが出発点です。月間発送件数が少ない段階はヤマトの国際宅急便か日本郵便EMS、スピードが求められる場合はDHL・FedEx・UPS、件数が増えてきたら発送代行への移行を検討するというロードマップで考えると判断しやすくなります。

「どの業者が自社に合うか判断できない」「海外発送コストを下げたい」といったご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。TSUMUGUでは、越境EC立ち上げから国内EC改善まで、売上に直結する実務支援を行っています。

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