競合ECサイトを見ても「商品も価格も似ているのに、なぜ向こうの方が売れているのか」がわからない。本記事では、SimilarWebとAhrefsで競合の流入経路と検索キーワードを読み解き、自社ECの打ち手に変える手順を解説します。
「競合の何を見ればいいかわからない」「分析しても自社の施策に落とし込めない」といったご相談があれば、ぜひお気軽にご相談ください。▶ サービス紹介資料をダウンロードする(無料)
- 競合サイト分析が自社ECの成長を左右する理由
- 分析の前に決める「誰を競合とみなすか」
- SimilarWebでわかること・基本の使い方
- Ahrefsでわかること・基本の使い方
- 競合との差を見つけるコンテンツギャップ分析
- ツールでは見えないEC特有の分析項目
- 分析を定着させる月次モニタリングの設計
- 分析結果を売上につなげる進め方
- 競合分析を始める前に決める3つの準備
- 初めてでも迷わない競合分析の5ステップ
- 競合の広告・SNS戦略を読み解く
- 分析から自社の強みを再定義する
- SimilarWebとAhrefsを補う無料ツール
- 数値を読むときに押さえたい3つの視点
- 競合分析にかける時間とコストの目安
- 競合に勝つための分析という発想に切り替える
- よくある質問
- まとめ
競合サイト分析が自社ECの成長を左右する理由
自社ECを伸ばそうとして広告費を上げたものの、競合は同じ商品をもっと安い広告効率で売っている。そんな状況に心当たりのあるEC担当者は少なくありません。
差がどこで生まれているのかを感覚で語っているうちは、打ち手も感覚的になります。まずは事実を数値で押さえるところから始めます。
競合サイト分析の目的は、勝っている相手の「集客と販売の構造」を分解することにあります。表面に見える商品や価格ではなく、どこから人を集め、どの導線で買わせているかを掴むのが狙いです。
同じ売上でも「中身」はまったく違う
月商規模が近い2社でも、片方は検索流入が全体の6割、もう片方は広告流入が7割というように、集客の中身はまったく違います。同じ売上でも、検索が強い事業者は広告を止めても売上が落ちにくく、利益率も高くなりがちです。
この構造の違いを知らないまま競合の値下げだけ真似ると、利益だけが削られます。競合分析は「何を真似るか」ではなく「どこで戦うか」を決めるための材料集めだと考えると、見るべき項目が定まります。
たとえば広告依存の競合に対して、自社が検索とコンテンツで流入を積み上げれば、同じ商品でも広告費を抑えた分だけ利益が残ります。逆に競合が検索を握っている領域に正面から挑むと、追いつくまでに時間と費用がかかります。
どちらを選ぶかは、競合の構造を見てからでないと判断できません。だからこそ、最初に競合の集客構造を掴む必要があります。
自社ECは集客を自力で作る前提がある
自社ECの場合、楽天などのモールと違って集客は自力で作る必要があります。モールであれば検索流入の一部をプラットフォームが供給しますが、自社ECは検索・広告・SNSのすべてを自前で設計しなければなりません。
だからこそ、競合がどのチャネルで流入を積み上げているかを知ることが、限られた予算の配分を決める出発点になります。年商5億円未満の事業者ほど予算と人員が限られるため、勝てる一点を見極める分析の価値が高くなります。
分析の精度を上げるほど、施策の優先順位がはっきりします。次の章では、分析の前に必ず決めておくべき「誰を競合とみなすか」から整理していきます。
分析の前に決める「誰を競合とみなすか」
競合分析でつまずく原因の多くは、ツールの使い方ではなく競合の選び方にあります。なんとなく「同じ業界の有名な会社」を競合に置くと、規模が違いすぎて参考にならないデータばかり集まります。
大手企業を競合に設定すると、流入キーワードも被リンクも桁違いで、自社が再現できない施策ばかりが並びます。分析の前に競合の定義を固めるだけで、その後の作業の精度が大きく変わります。
ビジネス競合と検索競合を分ける
競合には2種類あります。商品やターゲットが重なる「ビジネス競合」と、狙っているキーワードで上位に出てくる「検索競合」です。
ビジネス競合は商談で名前が挙がる相手で、品揃えや価格の比較に向いています。一方、検索競合は実際にGoogleで上位を取っている相手で、SEOやコンテンツの参考になります。
両者は一致しないことも多く、検索競合には大手メディアや比較サイト、メーカーの公式サイトが混ざります。同じカテゴリの店舗だけを見ていると、検索結果で実際に競合しているメディアの存在を見落とします。
SEOやコンテンツの設計を考えるなら、優先すべきは検索競合です。狙うキーワードで実際に上位にいる相手こそ、Googleが「この検索意図に合っている」と評価しているお手本だからです。
競合の見つけ方は「検索」から始める
検索競合を見つける最短ルートは、自社が上位を狙うキーワードで実際にGoogle検索することです。上位10件に並ぶサイトのタイトル、説明文、パンくず、リッチリザルトを観察すると、Googleがそのキーワードに何を求めているかが読めます。
このとき、シークレットモードで検索すると、自分の閲覧履歴に左右されない素の検索結果が見られます。地域性のあるキーワードでは、表示順位が地域で変わる点にも注意が必要です。
競合は3〜5社に絞る
競合を10社も20社も並べると、データの海に溺れて結論が出ません。最初は規模感の近い3〜5社に絞り、深く掘る方が成果につながります。
選ぶ基準は「自社が狙うキーワードで上位にいる」「商品カテゴリが重なる」「月商規模が極端に離れていない」の3点です。3条件が重なる相手を軸に置くと、分析結果がそのまま自社の打ち手に翻訳しやすくなります。
規模が大きすぎる相手は「目標」として参考程度に置き、分析の主軸は手の届く範囲の競合に据えます。背伸びした比較からは、明日からの行動が生まれにくいからです。
関連記事:ECのトレンドリサーチ方法|売れ筋を見つけるツールと実践手順
SimilarWebでわかること・基本の使い方
競合の集客構造を最初に俯瞰するなら、SimilarWebが向いています。URLを入力するだけで、月間訪問数の推定や流入チャネルの内訳が一覧で出てくるからです。
SimilarWebはイスラエル発のアクセス解析サービスで、世界中の多くの企業が競合調査に使っています。自社サイトはもちろん、ログインできない他社サイトの概況を外から推定できる点が、競合分析で重宝されます。
まず月間訪問数で規模感を掴む
SimilarWebで最初に確認するのは、競合の月間訪問数の推定値です。自社と競合の訪問数を並べると、集客力の差が何倍あるのかが一目でわかります。
訪問数が自社の3倍ある競合なら、同じ施策を打っても露出量で差がつきます。まずは規模の現実を直視し、その差を埋める打ち手があるのか、別の土俵で戦うのかを考える起点にします。
流入チャネルの内訳を読む
規模の次に見るべきは、流入チャネルの構成比です。検索・広告・SNS・直接・参照・メールのどこに偏っているかで、競合の戦い方が一目でわかります。
検索の比率が高ければSEOとコンテンツで人を集めている事業者で、広告比率が高ければ予算を投下して短期で売上を作る型です。SNS流入が目立つなら、InstagramやYouTubeなどの発信が集客の柱になっています。
直接流入の比率が高い競合は、指名検索やリピーターが多いブランド力の強い相手です。自社の構成比と並べると、どのチャネルで負けているかが定量的に見えてきます。
たとえば自社の検索流入が2割で競合が6割なら、コンテンツ投資が最優先の課題だと判断できます。この差は、次の打ち手を選ぶ明確な根拠になります。
流入元サイトと参照元を確認する
SimilarWebでは、競合にトラフィックを送っている参照元サイトも確認できます。どのメディアやまとめサイト、SNSから人が流れているかがわかれば、自社が出稿・寄稿すべき場所のヒントになります。
競合が特定の比較サイトから安定して流入を得ているなら、その掲載枠は自社にとっても狙う価値があります。流入元の上位は、広告出稿先やタイアップ先を選ぶときの優先リストとして使えます。
エンゲージメント指標で「質」を見る
訪問数だけでなく、平均滞在時間や直帰率、訪問あたりの閲覧ページ数といったエンゲージメント指標も比較対象になります。訪問数が多くても直帰率が高ければ、集めた人を活かせていない可能性があります。
自社より滞在時間が長い競合は、サイト内の回遊設計や商品ページの作り込みで一歩先を行っています。数値の差を入り口に、実際にそのサイトを歩いて何が滞在を生んでいるのかを確かめる流れが効果的です。
無料版でできる範囲と精度の注意
SimilarWebは登録不要のサイト調査でも、月間訪問数やチャネル比率、流入元の上位サイトまで確認できます。日本国内でも競合分析の参考データ源として広く使われており、過去半年程度のアクセス推移も追えます。
ただし、表示される数値はあくまで推定値です。月間数万アクセス未満の小規模サイトでは誤差が大きく、データ自体が表示されないこともあります。
数字を絶対値として鵜呑みにせず、競合間の「比率」や「傾向」を読む道具として使うのが現実的な使い方です。実際にツールを試した運用者の声では、規模の大きい競合ほど推定の精度が安定し、ニッチな専門ECでは数値がぶれやすいという報告もあります。
小規模な相手を分析するときは、SimilarWebの数値を起点にしつつ、後述するAhrefsや手動チェックで裏を取る進め方が安全です。1つのツールの数値だけで結論を出さない姿勢が、誤った判断を防ぎます。
Ahrefsでわかること・基本の使い方
SimilarWebで集客の全体像を掴んだら、次はAhrefsで検索流入の中身を分解します。Ahrefsは世界最大級の被リンクと検索データを持ち、競合がどのキーワードで人を集めているかをキーワード単位で見られるのが強みです。
SimilarWebが「どのチャネルから来たか」を示すのに対し、Ahrefsは「検索のどの言葉で来たか」まで踏み込みます。検索流入を伸ばしたいEC事業者にとって、ここが分析の心臓部になります。
サイトエクスプローラーで流入キーワードを見る
Ahrefsのサイトエクスプローラーに競合URLを入れると、そのサイトが上位を取っているキーワードと、それぞれの推定流入量が一覧で出ます。どのキーワードが競合の売上を支えているかが、ここで明確になります。
EC事業者がまず見るべきは、検索ボリュームが大きく、かつ購入につながりやすいキーワードです。「商品名+通販」「カテゴリ+おすすめ」のような顕在層のキーワードで競合が上位を独占していれば、そこが自社の取りこぼしになっています。
流入量の多いページから順に、競合がどんな記事や商品ページで集めているかを確認していきます。上位ページのタイトルや構成を見れば、そのキーワードでGoogleに評価される型が見えてきます。
上位ページと被リンクから「強さの源」を探る
Ahrefsの上位ページ機能では、競合サイトの中でどのページが最も流入を集めているかがわかります。トップページではなく特定の記事や特集ページに流入が集中していれば、そのコンテンツが競合の集客エンジンです。
あわせて被リンクの状況も確認します。どんなサイトから、どんな文脈でリンクされているかを見ると、競合が信頼を積み上げてきた経緯がわかります。
被リンクは依然として評価の柱の一つで、質の高いリンクを集めるページは順位が安定しやすい傾向です。自社がどんなサイトからリンクを得られるかを考える材料にもなります。
キーワード難易度で勝てる場所を選ぶ
Ahrefsのキーワードエクスプローラーでは、各キーワードの検索ボリュームに加えて、SEO難易度の目安も確認できます。難易度が高い語は上位の競合が強固で、新規参入では順位がつくまでに時間がかかります。
限られた資源で成果を出すには、ボリュームがそこそこあり難易度が中程度の語を狙うのが定石です。なお、かつて使われたドメインオーソリティという外部指標はGoogleの公式なランキング要因ではないため、判断の主軸にはしないほうが無難です。
無料のWebmaster Toolsから始める
Ahrefsは有料の印象が強いものの、Ahrefs Webmaster Toolsは自社サイトの登録で無料で使えます。利用できる機能はサイトエクスプローラーとサイト監査に限られますが、自社の流入キーワードや被リンク、技術的な問題の洗い出しには十分です。
まずは自社サイトを無料登録し、自社がどのキーワードで評価されているかを把握するところから始めると、有料版に進む前に投資判断ができます。競合のフルデータまで見たくなった段階で、月単位の有料プランを検討する流れが無駄になりません。
関連記事:ECサイトのCVR改善|転換率を上げる具体的な施策と手順
競合との差を見つけるコンテンツギャップ分析
競合の流入キーワードを眺めるだけでは、何から手をつけるかが決まりません。差を行動に変える鍵が、コンテンツギャップ分析です。
集めたデータを「自社に足りないものは何か」という問いに変換する工程が、この分析にあたります。ここを飛ばすと、競合のキーワード一覧を眺めて満足するだけで終わってしまいます。
「競合にあって自社にない」キーワードを抽出する
コンテンツギャップ分析とは、競合が上位を取っているのに自社が取れていないキーワードを洗い出す作業です。AhrefsのContent Gap機能では、自社URLと複数の競合URLを入力するだけで、その差分が一覧化されます。
具体的には、競合がトップ10に入っているのに自社が圏外のキーワードが抽出されます。ここに並ぶのは、自社が記事や商品ページを作れば取りに行ける「未開拓の流入源」です。
数百件単位で候補が出るため、そのままでは扱いきれません。検索ボリュームと購入意図の強さで絞り込み、自社のカテゴリと関係の薄い語は早い段階で除外していきます。
抽出したキーワードに優先順位をつける
ギャップが見つかっても、すべてに対応する時間はありません。優先順位は「検索ボリューム」「購入への近さ」「自社の勝てる見込み」の3軸で決めます。
ボリュームが大きくても情報収集だけの語は後回しにし、ボリュームは中程度でも購入直前の語を先に取りに行く判断が効きます。たとえば「使い方」より「比較」「おすすめ」「料金」のほうが、EC事業者にとっては売上に直結しやすいキーワードです。
自社の商品やコンテンツの強みと重なる語から着手すると、最短で順位がつきます。すでに自社が中位にいる語を上位へ押し上げるほうが、ゼロから新規で挑むより早く成果が出ることも多いです。
商品ページとコンテンツの両面で埋める
ギャップの埋め方は、記事コンテンツだけではありません。顕在層のキーワードは商品ページやカテゴリページで、情報収集層のキーワードは解説記事で、というように受け皿を使い分けます。
競合が記事で集めているキーワードに対して、自社は同じ記事で正面から競うか、商品ページの情報量で別角度から応えるかを選びます。受け皿の設計まで決めて初めて、コンテンツギャップ分析が施策に変わります。
ツールでは見えないEC特有の分析項目
SimilarWebとAhrefsは集客の構造を可視化しますが、買うかどうかを決めるサイト内の体験までは映しません。EC事業者は、ツールの数値に加えて競合サイトを自分の目で歩く必要があります。
表面に見えるデザインや価格だけでなく、売上を生む「構造」まで踏み込むのが、ECの競合分析の肝です。見た目の模倣で終わると、差別化のないサイトが一つ増えるだけになります。
価格・品揃え・送料の条件を並べる
競合分析の基本として、価格・品揃え・送料無料ラインの条件を一覧表にして並べます。同じ商品でも、送料無料の基準やまとめ買い割引の設計で、実質の支払額は大きく変わります。
ここで注意したいのは、価格を競合に合わせて下げるのが正解とは限らない点です。価格で並んだだけでは、顧客が競合からわざわざ乗り換える理由になりません。
自社が勝てる軸が価格なのか、品揃えの深さなのか、配送スピードなのかを見極めるための一覧と捉えるのが正しい使い方です。安易な値下げは利益を削るだけに終わるため、価格以外の勝ち筋を探す視点を持ちます。
購入導線とCVRを左右する要素を観察する
競合サイトで実際に商品をカートに入れ、購入直前まで進んでみると、自社との差がはっきりします。商品ページの情報量、レビューの見せ方、カート内のおすすめ表示、購入完了までのステップ数が観察ポイントです。
売れている競合ほど、初めて訪れた人の不安を先回りして消しています。サイズ表記やレビューの数、返品条件の明示など、買う前の迷いを減らす工夫が積み上がっているはずです。
こうした要素は転換率に直結するため、自社の商品ページと並べて差分をメモしていきます。実際に競合サイトでの購入を一度体験してみた担当者からは、自社のフォームの入力項目が多すぎたと気づいたという声もあります。
関連記事:ECサイトのCVR平均と目安|業種別ベンチマークと改善の考え方
レビュー・SNS・UGCの蓄積を見る
競合の商品レビュー数やSNSのフォロワー、投稿への反応も、ツールに映らない強さの源です。レビューが厚い競合は、新規客が安心して買える状態を時間をかけて作っています。
SNSでの言及やユーザー投稿が多い競合は、広告に頼らずに認知が広がる仕組みを持っています。自社がどれだけレビューやUGCを集められているかを並べると、信頼の蓄積でどこに差があるかが見えてきます。
分析を定着させる月次モニタリングの設計
競合分析は一度やって終わりにすると、すぐに古くなります。競合の順位や流入、価格は数か月で変わるため、定点観測の仕組みを持つ事業者ほど打ち手が早くなります。
毎回ゼロから分析し直すのではなく、見る指標を固定して継続的に追うのが効率的です。観測の型を決めておくと、変化に気づいたときの対応も速くなります。
追う指標を絞って記録を残す
月次で追う指標は、競合の月間訪問数、主要キーワードの順位、自社との流入キーワードの差の3つに絞ると続けやすくなります。指標を増やしすぎると、記録自体が負担になって続きません。
スプレッドシートに月ごとの数値を残し、前月との差分を一目で見られるようにします。数値の上下だけでなく、競合が新しく出した記事や商品も合わせて記録すると、相手の戦略変化に気づけます。
自社の施策と競合の動きを並べて見る
施策を打った後は、自社の流入キーワード順位の変化を月次で追い、競合の動きと並べて確認します。自社が伸びた要因が施策によるものか、競合が手を緩めただけなのかを切り分けるためです。
競合が急に順位を上げた領域があれば、相手が新たに投資を始めたサインかもしれません。四半期に一度は競合の入れ替えも見直し、新興の競合が伸びていないかを確認すると、観測の網から漏れません。
分析結果を売上につなげる進め方
競合を細かく調べても、売上が変わらなければ意味がありません。データを集めた後の「翻訳」と「優先順位づけ」で、分析の成否が分かれます。
分析レポートを作って満足してしまうのが、もっとも避けたい結末です。集めた事実を、来週から動かせる具体的なタスクに落とし込むところまでが分析の範囲だと考えます。
よくある失敗は「表面の模倣」で止まること
競合分析の典型的な失敗は、見た目や品揃え、価格の表面だけを真似て終わることです。あるファッションECが競合3社の商品構成と価格、サイト動線を細かく分析し、同等の品揃えと価格を揃えたものの、売上は15%しか伸びなかったという事例があります。
原因は、競合の集客構造や顧客との信頼関係まで模倣できなかった点にあります。顧客は価格や品揃えだけで買う相手を決めるのではなく、過去の購入体験やブランドへの信頼で選んでいます。
表面の比較だけでは、この層には届きません。来店習慣や信頼の積み上げまで含めて設計しないと、同等の品揃えを並べても顧客は乗り換えてくれないのです。
「自社が勝てる一点」に資源を集める
分析の結論は、競合に全項目で追いつくことではありません。競合が手薄なキーワードや、競合が満たせていない顧客の不満に、自社の資源を集中させる判断です。
コンテンツギャップで見つけた未開拓キーワードのうち、自社の専門性が活きる領域を1つ選び、そこで圧倒的な情報量のページを作る。この一点突破のほうが、全方位の模倣より早く順位と売上につながります。
実際の運用報告でも、競合が薄いニッチな領域に絞ったEC事業者ほど、少ない記事数で検索流入を伸ばしています。狭くても確実に勝てる場所を見つけ、そこで一番になる戦略が、限られた予算では現実的です。
TSUMUGUが大切にしている分析の姿勢
TSUMUGUは自社EC(Shopifyなど)と楽天市場の両面を支援しながら、特に自社ECの成長を優先する方針で伴走しています。立ち上げ期から年商5億円未満の事業者に向けて、競合分析で終わらせず、現場で使える再現性のある手順まで一緒に設計するのが特長です。
競合のデータを集めること自体が目的になりがちなところを、リード獲得からCVR・LTV改善までの一気通貫で「次の一手」に変えるところに重きを置いています。自社で分析を回しきれない場合は、外部の伴走をうまく使うのも一つの選択肢です。
関連記事:EC戦略の立て方|売上を伸ばすための全体設計と優先順位
競合分析を始める前に決める3つの準備
ツールを開く前に準備を整えておくと、分析が「なんとなく眺める作業」になりません。準備不足のまま数値を見ても、どこを見ればよいか迷って時間だけが過ぎます。
準備で決めるのは、分析の目的・追う指標・記録の置き場所の3つです。この3点が固まっていれば、ツールから得た数値が迷わず行動に変わります。
何のために分析するのかを一文で決める
分析の目的は「集客チャネルの最適化」「取りこぼしキーワードの発見」「価格戦略の見直し」など、一つに絞って言語化します。目的が曖昧なまま始めると、関係のないデータまで集めて疲れてしまいます。
たとえば「広告費を抑えて検索流入を増やす」が目的なら、見るべきは競合の検索流入比率と流入キーワードです。目的を一文で書き出すだけで、その後に見る画面が自然と決まります。
比較する指標をそろえる
競合と自社を比べるには、同じものさしで測る必要があります。月間訪問数・流入チャネル比率・主要キーワード順位・直帰率など、比較する指標を先にリスト化しておきます。
指標がそろっていないと、競合ごとにバラバラの観点で見てしまい、比較になりません。最初に5〜7個の指標を決め、すべての競合で同じ項目を埋める形にすると、表として一覧できます。
分析シートを用意して記録を残す
分析結果は、頭の中ではなくスプレッドシートに残します。競合名を列に、指標を行に並べた表を作っておくと、複数社の比較が一目でできます。
記録を残す習慣があると、数か月後に見返したときに変化が追えます。一度きりの印象ではなく、時系列の事実として蓄積するところに、継続的な競合分析の価値があります。
初めてでも迷わない競合分析の5ステップ
準備が整ったら、実際の分析を決まった順番で進めます。手順を固定しておくと、毎回の分析時間が短くなり、結果の比較もしやすくなります。
ここでは、初めて競合分析に取り組むEC担当者向けに、5つのステップに分けて手順を示します。上から順に進めるだけで、集客構造の把握から打ち手の決定までが一通り完了します。
ステップ1:検索して競合を3〜5社決める
最初に、自社が狙う主要キーワードでGoogle検索し、上位に並ぶサイトから競合を3〜5社選びます。商品カテゴリが重なり、規模が極端に離れていない相手を軸に据えます。
このとき、メーカー公式や大手モールは「お手本」として別枠に置き、分析の主軸は手の届く競合に絞ります。選んだ競合のURLは、分析シートの先頭に記録しておきます。
ステップ2:SimilarWebで集客構造を俯瞰する
次に、選んだ競合のURLをSimilarWebに入力し、月間訪問数と流入チャネル比率を記録します。検索・広告・SNS・直接の比率を自社と並べると、どこで差がついているかが定量的に見えます。
あわせて流入元の上位サイトやエンゲージメント指標もメモします。ここで「競合は検索が強いのか、広告で押しているのか」という大枠の戦い方を掴みます。
ステップ3:Ahrefsで流入キーワードを分解する
集客の全体像を掴んだら、Ahrefsのサイトエクスプローラーで競合の流入キーワードを確認します。流入量の多いキーワードと、それを集めている上位ページを記録していきます。
購入につながりやすい顕在層のキーワードで競合が上位を独占していないかを、特に注意して見ます。自社が無料のWebmaster Toolsで把握した自社キーワードと並べると、差が浮かび上がります。
ステップ4:コンテンツギャップで打ち手を抽出する
続いて、Content Gap機能で「競合にあって自社にない」キーワードを抽出します。出てきた候補を、ボリューム・購入への近さ・勝てる見込みの3軸で絞り込みます。
絞り込んだキーワードごとに、記事で取りに行くのか商品ページで応えるのかを決めます。ここまで来ると、来週から着手できる具体的なタスクのリストができあがります。
ステップ5:サイトを歩いて体験差を確かめる
最後に、競合サイトで実際に商品をカートに入れ、購入直前まで進んで体験差を確かめます。商品ページの情報量、レビュー、フォームの項目数など、転換率に関わる要素を自社と比較します。
5ステップを終えると、集客の構造・検索の取りこぼし・サイト内の体験差が一つの表にまとまります。あとは優先順位の高いものから着手するだけで、分析が施策に変わります。
競合の広告・SNS戦略を読み解く
検索だけでなく、競合がどんな広告やSNSで人を集めているかも、分析の重要な対象です。集客チャネルの偏りがわかれば、自社が空いている領域を取りに行けます。
広告とSNSは、検索ほど明確な数値が取りにくい領域です。それでも、公開情報と観察を組み合わせれば、競合の力の入れどころは十分に読めます。
リスティング・ショッピング広告の出稿を観察する
競合の主要キーワードで実際に検索し、広告枠に競合が出ているかを確認します。検索結果の上部に競合の広告が常に出ているなら、その語に広告予算を投じている証拠です。
SimilarWebの流入チャネルで広告比率が高い競合は、短期の売上を広告で作る型だと推測できます。広告に依存している相手に対しては、自社が検索とコンテンツで長期の流入を積み上げる戦い方が有効です。
ショッピング広告で競合の商品が並ぶ場合は、商品画像や価格、レビュー星の見せ方も比較対象になります。広告枠での見え方一つで、クリック率が変わるからです。
SNSの運用頻度と反応を見る
競合のSNSアカウントを開き、投稿頻度・フォロワー数・反応の多い投稿を確認します。どんな投稿に「いいね」やコメントが集まっているかを見れば、顧客が反応するテーマが読み取れます。
反応の多い投稿のパターンを掴めば、自社の発信の参考になります。ただし、フォロワー数の多さだけで判断せず、投稿あたりの反応率まで見ると、見せかけの規模に惑わされません。
メルマガ・LINEの接点も確認する
競合のメルマガやLINE公式に自分で登録すると、配信頻度や訴求の中身がわかります。どんなタイミングでセールや新商品を案内しているかは、リピート施策の設計に直結します。
配信の内容から、競合がどの層をリピーターにしようとしているかが見えてきます。自社の配信と比べて、頻度や特典の設計に差がないかをチェックすると、改善の糸口が見つかります。
分析から自社の強みを再定義する
競合分析のゴールは、競合を真似ることではなく、自社の立ち位置を定め直すことです。相手を知ることで、自社が何で選ばれているのかが逆に浮かび上がります。
競合と並べて初めて、自社の強みも弱みも相対的に見えてきます。分析の最後には、必ず自社の視点に立ち返る時間を取ります。
競合が満たせていない不満を探す
競合のレビューやSNSのコメントには、顧客の不満が表れます。「配送が遅い」「サイズが分かりにくい」といった声は、自社が応えられる余地そのものです。
競合の弱点は、自社の差別化ポイントの候補になります。全項目で勝とうとせず、競合が取りこぼしている不満の一つに絞って応えるほうが、顧客の記憶に残ります。
価格以外の価値で選ばれる軸を決める
価格競争に巻き込まれると、利益を削り合うだけの消耗戦になります。配送スピード、品揃えの専門性、購入後のサポートなど、価格以外で選ばれる軸を持つ事業者が長く残ります。
分析で見えた自社の強みを一つの言葉にまとめ、商品ページやトップページの訴求に反映します。強みが言語化できると、コンテンツの方向性もCTAの文言も一貫してきます。
分析を続ける仕組みを社内に残す
競合分析は、担当者一人の頭の中に留めると属人化します。分析シートと手順を社内で共有し、誰が見ても同じ観点で更新できる状態にしておきます。
四半期ごとに分析を見直す日をあらかじめ決めておくと、忙しさに流されて中断するのを防げます。仕組みとして回り始めると、競合の変化に気づくスピードが組織の強みになります。
SimilarWebとAhrefsを補う無料ツール
主要な2ツールに加えて、無料ツールを組み合わせると分析の死角が減ります。1つのツールの推定値に依存せず、複数の視点で裏を取る姿勢が、判断の誤りを防ぎます。
ここでは、EC事業者が手軽に併用できる無料の調査手段を整理します。どれも費用をかけずに始められるため、有料ツールを契約する前の入り口としても役立ちます。
Google検索とサジェストで需要を掴む
もっとも基本的な競合調査は、Googleで実際に検索することです。検索結果の上位サイト、サジェスト、関連キーワード、よくある質問の表示から、読者が何を求めているかが読み取れます。
サジェストに並ぶ語は、実際に多くの人が検索している組み合わせです。競合がどのサジェストに対応しているかを見れば、自社が応えるべき検索意図のヒントになります。
キーワード調査ツールで掘り下げる
ラッコキーワードやUbersuggestの無料版を使うと、関連キーワードや検索ボリュームの目安を手軽に集められます。Ahrefsの有料データほど詳細ではありませんが、初期の方向づけには十分です。
無料ツールで全体像を掴み、有料ツールで精度を上げる二段構えにすると、費用対効果が高まります。最初から高額なツールを契約せず、無料の範囲で仮説を立ててから投資する順番が無駄になりません。
Chrome拡張で素早く概況を見る
SimilarWebのChrome拡張を入れておくと、競合サイトを開いた瞬間に訪問数やチャネルの概況を確認できます。気になるサイトをその場で軽くチェックできるため、日常的な観察に向いています。
拡張機能の数値も推定値である点は同じですが、思いついたときにすぐ調べられる手軽さが利点です。深い分析は専用画面で行い、日々の気づきは拡張機能で拾う使い分けが効率的です。
数値を読むときに押さえたい3つの視点
競合のデータが集まっても、読み方を誤ると間違った結論に進みます。数値を前にしたとき、3つの視点を持つだけで解釈の精度が上がります。
大切なのは、数字そのものより「何と比べた数字か」を意識することです。比較の軸がぶれると、同じデータからでも逆の判断が生まれます。
絶対値より変化と比率で見る
推定データは誤差を含むため、一時点の絶対値で結論を出すのは危険です。前月との変化や、競合間の比率に注目すると、誤差の影響を受けにくい判断ができます。
たとえば訪問数の推定が多少ずれていても、検索流入が6割という比率は傾向として信頼できます。比率と変化を軸にすれば、推定値でも十分に意思決定の材料になります。
季節性とキャンペーンの影響を切り分ける
EC事業の数値は、季節やセールの影響を強く受けます。競合の訪問数が急増していても、セール期間の一時的な伸びなのか、恒常的な成長なのかを切り分ける必要があります。
過去半年程度の推移を見て、山と谷のパターンを把握すると、単発の数字に振り回されません。自社の繁忙期と競合の動きを重ねて見ると、業界全体の季節性も見えてきます。
競合分析にかける時間とコストの目安
競合分析は、どこまでやればよいかの線引きが難しい作業です。時間とコストの目安を持っておくと、深追いしすぎて手が止まる事態を避けられます。
限られた人員で運営する自社ECほど、分析にかけられる時間は限られます。完璧を目指すより、決めた範囲で素早く回すほうが成果につながります。
初回はまとめて、以降は短く回す
初回の分析は、競合の選定からサイト体験まで一通り行うため、半日から1日程度を見込みます。最初にしっかり型を作っておくと、2回目以降は指標の更新だけで済みます。
月次の更新は、追う指標を絞れば1〜2時間で終わります。初回に時間をかけ、以降は短く回すリズムにすると、負担なく継続できます。
無料から始めて必要な分だけ投資する
コスト面では、まず無料ツールだけで分析を始め、足りない部分が見えてから有料化を検討します。最初から高額なプランを契約しても、使いこなせなければ費用が無駄になります。
競合の全キーワードや被リンクを継続的に追う必要が出てきた段階で、有料プランを月単位で契約する判断が現実的です。投資の前に無料の範囲で仮説を持っておくと、契約後の立ち上がりも早くなります。
競合に勝つための分析という発想に切り替える
競合分析は、相手を監視するための作業ではありません。自社が顧客にどんな価値を届けるかを、競合という鏡を通して見つめ直す作業です。
同じ商品を扱っていても、集客の構造や顧客との関係の作り方で結果は大きく変わります。競合の数字に一喜一憂するのではなく、自社の打ち手を磨く材料として使う姿勢が、長期の成長につながります。
分析を一度きりで終わらせず、月次・四半期のリズムで回し続けると、競合の変化に先回りできるようになります。小さな観察の積み重ねが、いずれ大きな差として表れてきます。
よくある質問
Q:SimilarWebとAhrefsはどちらを先に使うべきですか?
A:最初にSimilarWebで集客チャネルの全体像を掴み、その後Ahrefsで検索流入のキーワードを深掘りする順番が効率的です。全体から細部へ進めると、どのチャネルを掘るべきかが先に定まり、Ahrefsでの分析が的を絞れます。
Q:無料版だけでも競合分析はできますか?
A:入り口としては無料版で十分に始められます。SimilarWebは登録不要でチャネル比率まで見られ、Ahrefs Webmaster Toolsは自社サイトの流入キーワードを無料で確認できます。競合の全キーワードを網羅したい段階で、有料プランを月単位で検討すると無駄がありません。
Q:動画の解説とツールの分析はどう使い分ければよいですか?
A:YouTubeの実演動画は、ツールの画面操作や数値の読み方を最初に理解するのに向いています。実際の手順を動画で一度追ったうえで、自社の競合URLでツールを動かすと、定着が早くなります。動画はあくまで操作の習得用とし、判断は自社データで行うのが現実的です。
Q:競合は何社くらい分析すればよいですか?
A:最初は3〜5社に絞るのが現実的です。狙うキーワードで上位にいて、商品カテゴリが重なり、月商規模が近い相手を選ぶと、分析結果を自社の施策に翻訳しやすくなります。数を増やすより、少数を深く掘るほうが成果につながります。
Q:分析結果をどのくらいの頻度で見直すべきですか?
A:競合の順位や流入は数か月単位で変わるため、四半期に一度の見直しを目安にするとよいでしょう。施策を打った後は、自社の流入キーワード順位の変化を月次で追い、競合の動きと合わせて確認すると改善の精度が上がります。
Q:推定データはどこまで信用してよいですか?
A:SimilarWebやAhrefsの数値は推定値のため、絶対値ではなく競合間の比率や傾向を読む材料として使います。規模の小さいサイトほど誤差が出やすいので、複数ツールと実際のサイト観察を組み合わせて裏を取ると、判断の精度が上がります。
Q:競合分析は社内の誰が担当すべきですか?
A:マーケや運営の担当者が主担当になるのが一般的ですが、分析シートと手順を共有して属人化を防ぐ運用が望ましいといえます。担当者一人の頭の中に留めず、誰が見ても同じ観点で更新できる状態にしておくと、引き継ぎや見直しがスムーズに進みます。
まとめ
競合サイト分析は、SimilarWebで集客の構造を俯瞰し、Ahrefsで検索流入のキーワードを分解する二段構えが基本です。最後はツールに映らない価格や導線を自分の目で確かめ、自社が勝てる一点に資源を集める判断につなげます。
「競合の何を見ればいいか整理できない」「分析しても次の打ち手が決まらない」といったご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。TSUMUGUでは、自社ECの集客とCVR改善を一気通貫で支援し、競合分析から具体的な施策設計までを伴走します。→ まずは相談する(無料)





















