ECサイトで最も重要なページの一つが「チェックアウト(決済フロー)」です。商品をカートに入れたにもかかわらず購入を完了しないユーザーの割合(カゴ落ち率)は平均約70%とされており、10人中7人が購入直前で離脱しているという実態があります。
チェックアウトフローの最適化は、新たな集客コストをかけずに既存のサイト流入から獲得できる顧客数を増やせる、費用対効果の高い改善施策です。入力ステップの削減・ゲスト購入の実装・決済方法の多様化・フォームUXの改善といった取り組みによって、購入完了率を大幅に向上させることができます。
本記事では、自社ECのチェックアウト最適化に必要な課題の把握から、ステップ構成・フォームEFO・決済選択肢・信頼構築・モバイルUX・Shopifyでの実装方法まで、実践的な観点で体系的に解説します。
「チェックアウトの改善で購入完了率を上げたい」「カゴ落ちの原因を特定してCVRを改善したい」といったご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。▶ サービス紹介資料をダウンロードする(無料)
なぜチェックアウト最適化がCVRに直結するのか
カゴ落ちの多くは「商品は欲しいが、購入のハードルが高い」という状況で発生します。チェックアウトフローの摩擦を減らすことで、購買意欲があるユーザーを確実に購入完了に導くことができます。
カゴ落ちの主な原因と優先課題
カゴ落ちの主な原因として多く挙げられるのは、「送料を含めると思ったより高かった」「会員登録が必要だった」「購入ステップが複雑で時間がかかる」「入力が面倒だった」「信頼性に不安を感じた」の5つです。
これらのうち、「送料の不透明さ」と「強制的な会員登録」はカゴ落ちの最大の原因として繰り返し調査で上位に挙がります。チェックアウト最適化では、まずこの2点を解消することが最優先です。入力フォームのEFO改善や決済方法の拡充も、購入完了率に大きく影響します。
カゴ落ち対策の全体像については自社ECのカゴ落ち対策もあわせてご参照ください。
チェックアウト改善の費用対効果
チェックアウトフローの改善は、広告費ゼロで収益を増やせる数少ない施策の一つです。現在の月間売上が100万円でCVR1.5%のECサイトが、チェックアウト改善によってCVRが2.0%に上がったとすれば、同じ集客コストで月間売上が133万円以上になります。
改善にかかるコストはフォームの修正やUI変更が中心で、広告予算の追加投資は不要です。費用対効果の観点では、広告最適化と並んで優先度が高い施策です。CVR改善の全体戦略については自社ECのCVR改善戦略もあわせてご覧ください。
チェックアウトステップの最小化
購入完了までのステップ数は少ないほどCVRが高くなります。ページ遷移が1回増えるごとに一定割合のユーザーが離脱するため、ステップ構成の見直しはチェックアウト最適化の基本です。
1ページチェックアウトと多段ステップの比較
チェックアウトの構成パターンは大きく「1ページ(ワンページ)チェックアウト」と「複数ステップ(マルチステップ)チェックアウト」の2種類があります。1ページチェックアウトは全ての入力項目を1画面に集約したもので、ページ遷移がないためモバイルでの離脱が少ないというメリットがあります。
一方、複数ステップ型は「配送先入力→配送方法選択→お支払い情報入力→確認→完了」のように段階的に進む形式で、情報量が多い場合でも各画面をシンプルに保てるというメリットがあります。Shopifyのデフォルトチェックアウトは最適化された3ステップ型で、多くのEC事業者にとってそのまま使うことが推奨されます。
ステップ数そのものよりも重要なのは「各ステップで求める情報を最小化すること」と「ユーザーが次に何をすべきかが明確であること」です。ステップ数が少なくても、1ページの情報量が多すぎると逆効果になります。
進捗インジケーターによる完了意欲の維持
複数ステップ型のチェックアウトでは、「今どの段階にいるか」「あと何ステップで完了するか」を視覚的に示す進捗バー(プログレスバー)が購入完了率に良い影響を与えます。
「ステップ1/3:配送先」のように現在位置と全体量を示すことで、ユーザーは「もう少しで終わる」という終点を認識でき、途中離脱を防ぎやすくなります。進捗バーがない場合は「どこまで続くのか分からない」という不安が離脱を招くことがあります。Shopifyのデフォルトチェックアウトには進捗バーが標準で実装されています。
ゲスト購入の実装と会員登録の最適化
「購入するためにアカウント作成が必要」という仕様は、カゴ落ちの主要原因の一つです。ゲスト購入を実装することで、アカウントを作りたくないユーザーの離脱を防ぎ、購入完了率を高めることができます。
ゲスト購入のCVR改善効果
アカウント登録を必須とするECサイトでは、初めてのユーザーが「登録が面倒」「個人情報を渡したくない」という心理的ハードルから離脱するケースが多くあります。特にモバイルでは、フォーム入力の手間が大きい分、登録必須の設計はCVRへのマイナス影響が顕著です。
ゲスト購入を実装することで、アカウント作成の手間なく注文できるため、初回購入のハードルが大きく下がります。ゲスト購入完了後に「次回のお買い物に便利なのでアカウント登録しませんか?」と誘導することで、登録率を維持しながらCVRも向上させることができます。
購入後のアカウント登録誘導のタイミング
アカウント登録への誘導は、購入を完了した後(サンキューページ)が最も効果的なタイミングです。購入前の段階では登録が離脱の原因になりますが、購入完了後であれば「次回をもっと便利に」という価値提案として受け入れられやすいです。
購入後の誘導文は「今回の注文情報で簡単にアカウントを作成できます。次回は入力不要でスムーズに購入いただけます」のような利便性を訴求するコピーが効果的です。Shopifyではゲスト購入後のアカウント作成誘導メールを自動送信する設定が可能です。
入力フォームEFO(エントリーフォーム最適化)
EFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)は、チェックアウトフォームの入力体験を改善してCV率を高める施策です。入力項目の削減・自動入力・エラー処理の改善が主な施策です。
入力項目の最小化
チェックアウトフォームに含める情報は「注文の処理に最低限必要なもの」のみに絞ることが重要です。住所・氏名・メールアドレス・電話番号・支払い情報が必須項目の基本で、それ以外の任意項目(誕生日・職業・購入動機など)はCVRを下げる可能性があります。
不要な項目を削除するだけで購入完了率が上がるケースは多く、特にモバイルでは入力の手間が直接CVRに影響します。「なぜこの情報が必要なのか」を一項目ずつ見直し、本当に必要なもの以外は削除または任意化することが基本です。
郵便番号自動入力・住所補完
郵便番号を入力すると都道府県・市区町村が自動で入力される「郵便番号自動入力(住所オートコンプリート)」は、日本のECサイトでは最も基本的なEFO施策の一つです。住所の手入力は誤入力やタイプミスが発生しやすく、エラーによる離脱の原因にもなります。
さらに、ブラウザのオートフィル機能に対応したフォーム設計(nameタグの適切な指定)により、過去に登録した住所・クレジットカード情報を自動入力できるようにすることも重要です。Shopifyのデフォルトチェックアウトはこれらの自動入力に最適化されています。
リアルタイムバリデーションとエラー表示
フォームの入力エラーは、送信ボタンを押した後にまとめて表示するより、入力中にリアルタイムで検知・表示する方がユーザー体験が良いです。「メールアドレスの形式が正しくありません」「電話番号はハイフンなしで入力してください」のようにその場でフィードバックすることで、入力のやり直し作業を最小限に抑えられます。
エラーメッセージは赤字・警告アイコンなど視覚的に分かりやすく、かつ「正しい入力例」を示す親切な設計にすることで、ユーザーのストレスを軽減します。エラーの原因が分かりにくいフォームはそのまま離脱につながるため、エラー表示の分かりやすさはEFOの重要な要素です。
入力欄のラベルと補足テキスト
各入力欄のラベルは、プレースホルダーのみでなく常に表示されるラベルテキストを使用することが推奨されます。プレースホルダーは入力を始めると消えてしまうため、入力途中で「ここは何を入れるんだったか」という混乱を招きやすいです。
入力例(例:「山田 太郎」)や注意事項(例:「ハイフンなし11桁」)を補足テキストとして表示することで、入力ミスを防ぎます。特に「名前の入力順(姓名の順番)」「電話番号の形式(ハイフンの有無)」は日本語サイトで誤入力が発生しやすい項目です。
決済方法の多様化と最適な選択肢設計
「使いたい決済方法がない」という理由でのカゴ落ちを防ぐため、ユーザーの利用傾向に合わせた決済選択肢の整備が重要です。特にスマートフォンユーザーには、ワンタップで完結するID決済の対応が購入完了率に直結します。
クレジットカード・デビットカード
クレジットカードは依然として日本のECサイトで最も利用されている決済手段です。VISA・Mastercard・JCB・AMEXの主要ブランドに対応することが基本です。3Dセキュア(本人認証)の実装はセキュリティ面での信頼性向上に有効ですが、認証ステップが追加されることで離脱を生む可能性もあるため、ユーザー体験とのバランスを考慮する必要があります。
カード情報入力のUXとしては、カード番号の自動スペース区切り表示・有効期限のMM/YY形式対応・CVVの入力位置の説明が丁寧に設計されているかが重要です。Shopify Paymentsはこれらの入力UXが最適化されています。
ID決済(PayPay・Amazon Pay・楽天ペイ・Apple Pay・Google Pay)
ID決済とは、各サービスのアカウントと連携することで、住所・支払い情報の入力を省略して購入できる決済手段です。PayPay・Amazon Pay・楽天ペイ・Apple Pay・Google Payなどが代表的です。
特にスマートフォンユーザーには、住所入力なしにワンタップで購入できるApple Pay・Google PayやPayPayの利便性が高く、モバイルCVRの改善に効果的です。Amazon Payは「Amazonアカウントで購入」できる利便性から、既存Amazonユーザーの新規獲得に有効なチャネルになります。
ID決済の種類と実装方法の詳細については自社ECの決済・支払い方法最適化もあわせてご参照ください。
コンビニ払い・銀行振込・後払い
クレジットカードやID決済を持たないユーザーや、オンライン決済に不安を感じるユーザー向けに、コンビニ払い・銀行振込・後払い(NP後払い・Paidy等)を提供することで、購入できる層が広がります。
特に高価格帯の商材や、シニア層・若年層をターゲットにしたECサイトでは、クレジットカードを持っていないユーザーが一定数いるため、後払いやコンビニ払いが購入完了率に大きく貢献するケースがあります。後払いサービス(Paidy・NP後払い)は「お試し購入の心理的ハードルを下げる」効果もあります。
決済方法の表示順序と視認性
決済方法の表示は、利用率の高い手段を上位に表示し、ユーザーが迷わず選択できる設計にすることが基本です。決済方法のロゴ(VISAマーク・PayPayロゴ等)を明確に表示することで、ユーザーは自分が使える決済方法がすぐに判断できます。
選択肢が多すぎると「選択の困難さ(チョイスオーバーロード)」によって逆に離脱が増えることもあります。4〜6種類程度に絞り込み、代表的な手段を分かりやすく提示することが推奨されます。
送料・費用の透明性と早期提示
「送料を含めると思ったより高かった」という理由でのカゴ落ちは非常に多く、この問題を解消するために費用の透明性を高めることが重要です。チェックアウトに進んではじめて送料が分かる設計はCVRを大きく下げます。
カートページでの送料・総額の明示
ユーザーがチェックアウトに進む前のカートページで、送料・手数料を含めた総額を表示することが理想的です。「送料はチェックアウトで計算されます」という表示は不透明感を与えやすく、期待値とのギャップが離脱につながります。
配送先によって送料が異なる場合でも、「〇〇円以上で送料無料」「全国一律〇〇円」などの送料体系を商品ページ・カートページで分かりやすく伝えることで、チェックアウト進入後の驚きを防げます。送料無料の条件を満たすまでの金額(「あと〇〇円で送料無料」)を表示することは、客単価向上とカゴ落ち防止を同時に達成できる設計として有効です。
送料無料ラインの設定とその影響
送料無料ラインを設定することは、購入完了率と客単価の両方に影響します。「〇〇円以上で送料無料」という設計は、送料を気にするユーザーに対して「もう少し買えば送料がかからない」というインセンティブになります。
一方で、送料無料ラインが高すぎると「どうせ送料がかかるなら」という理由で離脱が増えるケースもあります。自社の平均注文金額と客単価分布を把握した上で、実際のデータに基づいて適切な送料無料ラインを設定することが重要です。送料無料ラインの設定は実質的なCACとLTVにも影響するため、慎重に検討する必要があります。
信頼性の構築とセキュリティ表示
チェックアウトページでの「信頼シグナル」の表示は、ユーザーが安心して決済情報を入力するために重要です。特にはじめて利用するECサイトでは、信頼性への不安が購入をためらわせる要因になります。
SSL証明書とセキュリティバッジ
チェックアウトページは必ずHTTPS(SSL/TLS)で提供されていることが前提です。ブラウザのアドレスバーに鍵アイコンが表示されることで、通信が暗号化されていることをユーザーに示せます。
さらに、チェックアウトページ上に「256bit SSL暗号化」「セキュアな決済」のようなセキュリティバッジを表示することで、個人情報・クレジットカード情報の入力に対する不安を軽減できます。決済会社のロゴ(StripeやPAY.JPなど)の表示も信頼性の補強になります。
返品・交換ポリシーの明示
チェックアウトページ上で「30日間返品・交換保証」「サイズが合わない場合は無料交換」のような返品ポリシーを明示することは、購入前の不安を解消し購入完了率を高める効果があります。
特にアパレル・シューズ・家具などフィット感・サイズが気になる商材では、返品保証の表示がCVRに大きく影響します。返品ポリシーが分かりやすい場所に表示されていることで「失敗しても大丈夫」という安心感を与えられます。
レビュー・実績の表示
チェックアウトページには商品レビューの件数・評価スターを小さく表示したり、「〇〇件の購入実績」「累計〇〇万個出荷」のような実績情報をフッターやサイドバーに表示することも信頼構築に有効です。
初めて利用するECサイトで感じる「ここは信頼できるサイトなのか」という不安を、社会的証明(ソーシャルプルーフ)で払拭することがチェックアウト完了率の向上につながります。レビュー活用の詳細については自社ECのレビュー戦略もあわせてご参照ください。
モバイルチェックアウトのUX最適化
スマートフォンからのECサイト利用率は年々上昇しており、自社ECサイトの購入の過半数がモバイルというケースも珍しくありません。モバイルでのチェックアウト体験がCVRに直結するため、モバイル専用のUX最適化が必要です。
モバイルフォームの入力UX
スマートフォンでのフォーム入力は、PCよりも入力の手間がかかるため、入力数の最小化が特に重要です。数字を入力する欄(電話番号・クレジットカード番号・郵便番号)では数字キーボードが自動で表示されるようにinputtype属性を適切に設定することが必要です(type=”tel” / type=”number”)。
日本語入力が必要な欄(氏名・住所など)は変換が発生するため、郵便番号から住所を自動入力する設計が特に重要です。住所の手入力は誤入力も多く、モバイルでのCVRを下げる大きな要因の一つです。
タップターゲットサイズとボタン設計
スマートフォンでのタップ操作では、ボタンや入力欄が小さすぎると誤タップが増え、ストレスになります。Googleが推奨するタップターゲットサイズの最小値は48×48pxで、入力欄・選択肢・CTAボタンはこれを下回らないように設計します。
「購入する」「次へ進む」などの主要CTAボタンは親指で押しやすい画面下部に大きく配置し、色・コントラストで視認性を高めることが重要です。ボタンが小さすぎる・スクロールしないと見えないという設計は、モバイルのCVRを大きく下げる原因になります。
Apple Pay・Google Payによるワンタップ決済
Apple PayやGoogle Payに対応することで、スマートフォンに保存された支払い情報・配送先情報を使って、顔認証・指紋認証だけで購入を完了できるワンタップ決済が実現します。住所・クレジットカード情報の入力が完全に不要になるため、モバイルのCVRを大幅に改善できます。
Shopifyでは、Shopify PaymentsとApple Pay・Google Payの統合がデフォルトでサポートされており、設定するだけで商品ページ・カートページ・チェックアウトページでのワンタップ決済が利用できます。モバイルCVRの改善において、Apple Pay・Google Payの対応は優先度の高い施策の一つです。モバイルUX最適化の全体については自社ECのモバイルUX最適化もあわせてご覧ください。
Shopifyのチェックアウトカスタマイズ
Shopifyを利用している場合、チェックアウトのデフォルト設計はすでに多くの最適化がなされています。一方で、ブランドに合わせたカスタマイズやコンバージョン改善のための追加施策も可能です。
Shopifyチェックアウトの標準機能と優位性
ShopifyのデフォルトチェックアウトはA/Bテストにより最適化された3ステップ構成(配送先・配送方法・支払い)で設計されており、モバイル対応・郵便番号自動入力・Apple Pay/Google Pay対応・ゲスト購入が標準で実装されています。
Shopifyのチェックアウトは世界中の数百万のストアのデータをもとに継続的に改善されており、自社でフルスクラッチ開発したチェックアウトよりも高いCVRを実現しているケースが多いです。Shopifyのチェックアウト画面を独自デザインに大きく変えることは、標準のCVO(コンバージョン最適化)設計を損なうリスクもあるため、大幅な改変には慎重さが必要です。
Shopify Plusでのチェックアウトカスタマイズ
Shopify Plus(エンタープライズプラン)では、checkout.liquidによるチェックアウトページのHTML/CSS/JavaScriptカスタマイズが可能です。ブランドロゴ・カラースキーム・フォントの変更から、独自の信頼バッジの追加・プロモーションバナーの表示・カスタムフィールドの追加まで、通常のShopifyでは制限されているカスタマイズが実装できます。
チェックアウト内でのクロスセル表示(「このアイテムとよく買われる商品」)や、カスタム配送オプションの表示などもShopify Plusでは実現可能です。ただし、カスタマイズによってCVRが下がるリスクもあるため、A/Bテストで効果を検証しながら実装することが推奨されます。
Shopifyのチェックアウト設定で改善できること
Shopify Plusでなくても、管理画面のチェックアウト設定からCVR改善につながる設定が可能です。具体的には、ゲスト購入の有効化・連絡先として「電話番号またはメール」の選択・名前フィールドの「姓・名」の順番変更・チップのオプション表示・フォームのオートフィル対応などが設定から変更可能です。
これらの設定は専門的な開発知識がなくても変更でき、特にゲスト購入の有効化と連絡先設定の最適化は即座にCVRへの影響が期待できます。Shopifyの使い方全般についてはShopify開設・運営ガイドもご参照ください。
チェックアウトのA/Bテストと改善サイクル
チェックアウトの改善は「何が問題か」を正確に把握した上で、仮説に基づいた施策を実装し、A/Bテストで効果を検証することが重要です。感覚や見た目だけの改善は逆効果になることもあります。
チェックアウトのデータ分析と課題特定
GA4のファネル分析を使って「カートページ→チェックアウト開始→配送情報入力→決済情報入力→購入完了」の各ステップでの離脱率を計測することで、どのステップで最も離脱が多いかを特定できます。
「チェックアウトに進まない」「配送情報入力で離脱する」「決済情報入力で離脱する」「確認画面で離脱する」ではそれぞれ原因が異なります。ファネルデータを見ることで、最優先で改善すべきステップが明確になります。データ分析の詳細についてはGA4を活用したEC分析もあわせてご覧ください。
ヒートマップとセッション録画の活用
ヒートマップツール(HotjarやMicrosoft Clarityなど)でチェックアウトページのクリック・スクロール・フォーム入力のデータを収集することで、ユーザーがどこで詰まっているかを視覚的に把握できます。
セッション録画では実際のユーザーの操作を動画で確認でき、「入力欄を何度も修正している」「ボタンが分かりにくそうに探している」「エラーが出て離脱している」といった問題を発見できます。定量的なGA4分析と定性的なヒートマップ・録画を組み合わせることで、改善仮説の精度が上がります。
A/Bテストの進め方
チェックアウトのA/Bテストは、「変更点を1つに絞る」「十分なサンプル数を確保する」「統計的有意性を確認してから判断する」という基本原則を守ることが重要です。複数の変更を同時にテストすると、どの変更が効果をもたらしたか判断できなくなります。
テスト可能な具体的な変数としては、CTAボタンのテキスト・色・位置、ゲスト購入ボタンの表示方法、送料表示のタイミング・表現方法、決済方法の表示順序、信頼バッジの有無・デザインなどがあります。Shopifyでは標準でA/BテストをするためのネイティブツールはないためGoogle OptimizeやVWOなどの外部ツールを活用します。
チェックアウト完了後のUX設計
チェックアウトの最適化は「購入ボタンを押すまで」だけでなく、購入完了後のUX設計まで含めて考えることが重要です。購入完了後のユーザー体験が次回購買・口コミ・LTVに影響します。
サンキューページの設計
購入完了後に表示されるサンキューページ(Thanks Page)は、単に「ご注文ありがとうございます」を表示するだけでなく、LTVを高めるための設計が可能です。
サンキューページで実装できる施策として、①アカウント登録への誘導(「次回は入力不要で購入できます」)、②SNSシェアの促進(「購入をシェアして〇%割引クーポンをゲット」)、③関連商品・クロスセルの提示、④次回購入クーポンの配布、⑤LINEまたはメールマガジン登録への誘導があります。これらを組み合わせることで、1回の購入を長期的な顧客関係の起点にできます。
注文確認メールとステータス通知
購入完了後の自動送信メール(注文確認メール・発送完了メール)は、顧客が注文状況を安心して確認できる重要なコミュニケーション手段です。注文確認メールには注文番号・購入商品・配送先・合計金額を明記し、「問題があればこちらに連絡してください」という問い合わせ先を分かりやすく記載することが基本です。
発送完了メールでは追跡番号とトラッキングURLを記載することで、顧客が自分で配送状況を確認でき、「商品はいつ届くのか」という問い合わせを減らせます。メールマーケティングの詳細については自社ECのメールマーケティング戦略もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q:チェックアウトのステップ数は何段階が最適ですか?
A:一概に「〇ステップが最適」とは言えませんが、Shopifyのデフォルトの3ステップ(配送先→配送方法→支払い)は多くのECサイトで高いCVRを達成しています。重要なのはステップ数より「各ステップで求める情報を最小化すること」と「進捗が視覚的に分かること」です。ワンページチェックアウトが必ずしも3ステップより優れているわけではなく、情報量・デザイン・ユーザー層によって最適な構成は変わります。A/Bテストで実際に効果を検証することが最善の判断方法です。
Q:ゲスト購入を実装するとリピーター獲得に悪影響はありますか?
A:購入前の強制的な会員登録はCVRを下げるため、ゲスト購入の実装はCVR改善に有効です。リピーター獲得への影響については、購入完了後のサンキューページや注文確認メールでアカウント登録への誘導を行うことで対応できます。「ゲスト購入で注文が完了しました。次回はアカウントを作成すると入力不要でご購入いただけます」という誘導を購入後に行うことで、CVRを維持しながらアカウント登録率も確保できます。
Q:どの決済方法を優先的に対応すべきですか?
A:まずクレジットカード(VISA・Mastercard・JCB)への対応が基本です。次にスマートフォンユーザーが多い場合はApple Pay・Google Pay・PayPayの対応優先度が高いです。Amazon Payは既存のAmazonユーザーの取り込みに有効です。ターゲット顧客層によって優先度は変わりますが、一般的な自社ECサイトであれば「クレカ+Apple Pay/Google Pay+コンビニ払い・後払い」の組み合わせで多くのユーザーをカバーできます。
Q:Shopifyのチェックアウトをカスタマイズするには何が必要ですか?
A:Shopifyの通常プランでは、管理画面のチェックアウト設定からゲスト購入・フォーム設定などの基本変更が可能です。デザインのカスタマイズはテーマのカラー設定の範囲に限られます。checkout.liquidを使ったHTMLレベルのカスタマイズにはShopify Plus(月額880ドル〜)へのアップグレードが必要です。多くの自社ECサイトではShopify標準のチェックアウトでも十分なCVRが実現できるため、まずは設定レベルで改善できる項目を優先的に確認することをおすすめします。
Q:チェックアウトの改善でどのくらいCVRが向上しますか?
A:改善前の状態によって大きく異なりますが、ゲスト購入の実装・フォームEFO・ID決済の追加といった複数の施策を組み合わせることで、チェックアウト完了率を10〜30%以上改善できたケースも珍しくありません。特に「会員登録必須」「モバイルでの入力が多い」「送料が直前まで分からない」などの課題がある場合は、それを解消するだけで大幅な改善が見込めます。改善効果はサイトのデザイン・ターゲット層・商材によって異なるため、A/Bテストによる検証が重要です。
まとめ
自社ECのチェックアウト最適化は、新たな集客コストをかけずに既存の流入から獲得できる顧客数を増やせる、費用対効果の高い施策です。カゴ落ちの主な原因である「送料の不透明さ」「強制的な会員登録」「入力の手間」を解消することが最優先課題です。
TSUMUGUでは、チェックアウト最適化からCVR改善・カゴ落ち対策・モバイルUX改善まで、自社EC事業者さまの状況に合わせて一貫してサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。→ まずは相談する(無料)
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