楽天の運営代行に不満はあっても、売上の落ち込みやRMS・広告の引き継ぎが不安で、契約を続けている店舗は少なくありません。楽天運営代行の乗り換えは、契約確認・資産の棚卸し・R-Loginの権限移行・販促カレンダーに沿った切り替えの4段階で進めると、売上の落ち込みを抑えられます。
この記事では、乗り換えを考えるべきサインから、90日のスケジュール例、新しい依頼先の選び方までを順に整理しました。
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楽天運営代行の乗り換えを考えるべきサイン
運営代行の乗り換えを検討するきっかけは、売上の伸び悩みよりも、レポートや提案の中身に手応えがなくなったときに訪れることが大半です。毎月の報告が数字の羅列だけで、次に何をするかが書かれていない状態が3か月続いたら、見直しの時期だといえます。
EC運営者169社を対象にした2024年の調査では、現在のEC運営に不満があると答えた企業が26.6%でした。不満の理由は「戦略やノウハウの不足」が55.6%で最も多く、運用人員の不足(46.7%)を上回りました。
提案がイベント対応の繰り返しになっている
楽天の運営代行は、スーパーSALEやお買い物マラソンの準備だけで手一杯になりやすい業務です。イベントのたびにクーポンと広告を積み増すだけで、商品ページの改善やリピート施策の提案が出てこないなら、店舗の伸びしろを活かせていません。
確認の方法は、直近6か月の提案のうち「イベント以外の改善提案」が何件あったかを数えることです。月1件にも満たない場合は、今の依頼先の体制では成長の打ち手が出にくいと考えてよいでしょう。
数字の説明ができない担当者に替わった
契約当初の担当者が異動し、後任が店舗の数字や過去の施策を把握していないケースも珍しくありません。売上が下がった月に、原因をアクセス数・転換率・客単価のどれで説明できるかを尋ねてみると、担当者の理解度が見えてきます。
担当者の交代そのものは珍しいことではありません。問題は、引き継ぎの内容が店舗側に共有されず、同じ説明を何度も繰り返す状態が続くことです。
店舗の成長段階と支援の形が合わなくなった
立ち上げ期には作業の代行で十分だった店舗も、月商が数倍に伸びると、広告の配分や商品の構成といった判断まで相談したい場面が増えるはずです。逆に、社内に担当者が育ってきた店舗では、作業をすべて任せる契約が割高に感じられる場面も出てきます。
このように、今の会社の質が落ちたのではなく、店舗の段階と支援の形がずれてきたことが不満の正体というケースもあります。乗り換えを考える前に、今の自社に必要なのが作業の手か、判断の助言かを整理してみてください。
乗り換えより先に試したいこと
不満があっても、すぐに解約を伝えるのが最善とは限りません。まずは期待する成果と業務範囲を文書にまとめ、今の依頼先と3か月の改善計画を合意できるかを確かめる方法もあります。
改善計画の期限を過ぎても状況が変わらなければ、その時点で乗り換えに進むと判断の根拠が明確です。感情的な解約ではなく、合意した基準に届かなかったという事実を残しておくと、契約の終了交渉もスムーズに進みます。
関連記事:ECコンサルで成果が出ない理由と対策|立て直しの手順
乗り換え前に確認する契約条件
乗り換えで最初にやるべきことは、新しい会社探しではなく、今の契約書を読み直すことです。解約の予告期間や成果物の扱いを知らないまま動くと、想定外の違約金や、画像・データを使えない事態を招きます。
運営代行の契約では、解約の申し出を終了日の1〜3か月前までに求める条項が一般的です。予告期間が3か月なら、10月に申し出ても実際の終了は翌年1月になるため、新旧の会社の並行期間をどう組むかもこの時点で決まってきます。
最低契約期間と解約予告期間
最低契約期間が6か月や12か月に設定されている場合、期間内の解約には残り期間分の費用が発生する契約もあります。まずは契約開始日、最低契約期間の満了日、解約予告の期限の3つの日付を書き出してください。
自動更新の条項があるかどうかも見落とせません。更新日の直前に解約を伝えても間に合わず、さらに半年分の契約が延びてしまうケースがあるからです。
制作物の著作権と利用範囲
商品ページの画像、バナー、ページのデザインやHTMLのテンプレートは、契約で取り決めがなければ、制作した運営代行会社に著作権が残るのが原則です。著作権法では、翻案権などの権利は譲渡の契約で特に明記しないと譲渡した側に残ると推定されるため、「著作権を譲渡する」とだけ書いた契約では不十分な場合があります。
乗り換え後も同じ画像を使い続けたいなら、契約書に制作物の権利の帰属と、契約終了後の利用条件が書かれているかを確認します。記載がなければ、解約の申し出と同時に、使い続けたい制作物の一覧を示して書面で合意を取っておくと安心です。
データの返却・消去と秘密保持
運営代行会社は、受注データや顧客情報、売上データに日常的にアクセスする立場です。契約終了時に、手元に残ったデータを返却するのか消去するのか、消去した証明を出してもらうのかを確かめておく必要があります。
秘密保持の義務は、契約終了後も2〜5年程度続く形で定めるのが一般的です。個人情報を扱う業務を委託している店舗には、委託先を監督する法律上の義務もあるため、終了時の取り扱いまで記録に残してください。
成果報酬型の契約は精算の基準を確認する
売上に応じて報酬が決まる成果報酬型の契約では、契約終了の月の売上をどちらの会社の成果として扱うかで揉めるケースが少なくありません。並行期間の売上を旧会社の報酬計算に含めるのか、終了日以降の売上は対象外とするのかを、解約の申し出の時点で確認しておきます。
成果報酬の対象となる売上の範囲と締め日を書面でそろえておくと、最終月の請求をめぐるトラブルを避けられます。旧会社が過去に実施した施策の効果が切り替え後に表れる場合の扱いも、あわせて話し合っておくと安心です。
引き継ぐ資産の棚卸しリスト
乗り換えで売上が落ちる店舗の多くは、何を引き継ぐべきかを洗い出さないまま旧会社との契約を終えてしまった店舗です。解約を伝える前に、店舗運営に使っている資産を「楽天の管理画面の中にあるもの」と「管理画面の外にあるもの」に分けて一覧にしておきます。
楽天の管理画面であるRMSの中の設定や履歴は、店舗のアカウントに残るため、旧会社が退いても消えません。注意すべきなのは、旧会社のパソコンやクラウド、旧会社名義の外部サービスに置かれている資産です。
RMSの中に残る資産
商品情報、画像を保存するR-Cabinet、トップページ、クーポン、RPP広告の設定と実績、メルマガの配信履歴は、RMSの中に残る資産です。これらは新しい会社が同じRMSにログインすれば確認できます。
ただし、設定が残っていても「なぜその設定にしたのか」は管理画面からは読み取れません。RPP広告のキーワードごとの入札単価や除外キーワードを決めた理由、イベントごとのクーポン設計の意図は、旧会社に説明を求めて文書で受け取る必要があります。
RMSの外にある資産
見落としやすいのが、画像やバナーの元データ、ページ制作に使ったテンプレート、商品登録用のCSVの原本、レビュー返信やお問い合わせ対応の定型文です。これらが旧会社のサーバーやクラウドにしか保存されていないと、乗り換え後に画像1枚を直すにも作り直しを迫られます。
受注管理や在庫連携のツールを旧会社名義で契約している場合も要注意です。契約の名義を店舗に移せるのか、新しく契約し直す必要があるのかで、切り替えにかかる日数が大きく変わります。
楽天の外の広告・SNSアカウント
楽天の店舗へ集客するためにMeta広告やGoogle広告、InstagramやLINE公式アカウントを運用している場合は、アカウントの所有者も確認が必要です。こうしたアカウントが旧会社のビジネスアカウントの配下で作られていると、契約終了とともに過去の配信データや作成した広告にアクセスできなくなるおそれがあります。
広告アカウントやSNSアカウントは、店舗が所有者となり、運営代行会社には権限だけを付与する形が理想です。乗り換えを機に、所有者が誰になっているかを1つずつ確かめておくと、次に依頼先を替えるときにも困りません。
旧会社に依頼する資料の一覧
旧会社に依頼する資料は、月次レポート12か月分、RPP広告の方針、イベントの施策と結果、画像の元データ、作業手順書、外部アカウント一覧の6種類です。依頼する際は、資料ごとに受け取りの期限を設け、受け取ったものから一覧に印を付けていきます。
資料の形式も事前に指定しておくと、受け取った後に開けないといった事態を防げます。画像の元データであれば、編集できる形式のファイルで受け取れるかを確認しておくとよいでしょう。
数字と施策の履歴
過去12か月分の月次レポート、イベントごとの売上と広告費、実施した施策とその結果の記録も、引き継ぐべき資産です。新しい会社が最初の3か月で同じ失敗を繰り返さないためには、うまくいかなかった施策の記録こそ価値があります。
棚卸しの一覧には、資産の保管場所・所有者・引き渡し方法・期限の4項目を並べておくと、旧会社との引き継ぎの打ち合わせで抜け漏れを確認できます。一覧は解約の申し出と同時に旧会社へ共有し、引き渡しの期限を合意してください。
R-Loginの権限移行とアカウント管理
楽天の管理画面には、店舗共通のIDと担当者ごとのユーザーIDを組み合わせるR-Loginという仕組みでログインします。乗り換えでは、新しい会社のユーザーを追加し、旧会社のユーザーを削除する作業を、売上に影響しない順番で進めるのが基本です。
R-Loginの利用者には、責任者・管理者・スタッフの3つの役割があり、スタッフにはどの機能まで使えるかを権限分類で設定できます。利用者ごとに権限の有効期限も設定でき、上限は3年です。
新しい会社には業務に必要な権限だけを付与する
新しい会社のユーザーは、管理者から登録用のURLを送り、本人が登録を済ませた後に承認する流れで追加します。権限は「通常」で全機能を開放するのではなく、業務範囲に合わせて絞るのが基本です。
たとえば、商品ページの制作だけを任せるなら、店舗構築の機能に限った権限分類を選べます。受注や顧客情報を扱わない契約であれば、受注管理の機能を除いた権限にしておくと、個人情報に触れる人数を最小限に抑えられるでしょう。
旧会社の権限は最終日に削除する
旧会社のユーザーは、契約の最終日に削除するのが原則です。削除した利用者の情報は元に戻せないため、引き継ぎの資料がすべてそろったことを確認してから実行してください。
並行期間中に旧会社と新しい会社が同時に同じ設定を変更すると、どちらの変更が反映されたのかわからなくなるでしょう。並行期間は、旧会社には設定を変更しないよう取り決め、設定の変更は新しい会社に一本化すると混乱を防げます。
権限の棚卸しを定期的に行う
乗り換えの後に旧会社のユーザーが残ったままの状態は、情報漏えいのリスクを抱えたまま運営を続けることを意味します。乗り換えを機に、全ユーザーの一覧と現在の担当者・委託先を照らし合わせ、不要なユーザーを整理しておくと安全です。
その後も、四半期に1回は利用者の一覧を見直す運用にしておくと、退職者や契約が終わった外部の担当者のIDが残り続ける事態を防げるはずです。有効期限を契約期間に合わせて設定しておけば、更新を忘れた場合でも自動的にアクセスが止まります。
関連記事:楽天RMSの使い方|初心者向けに基本操作と運営の流れを解説
乗り換えのタイミングは販促カレンダーから逆算する
乗り換えの時期を誤ると、引き継ぎの混乱がそのまま大型イベントの売上に響きます。楽天では大型イベントの前後に準備と検証の作業が集中するため、イベントの直前に担当会社を替えるのは避けるのが賢明です。
楽天スーパーSALEは例年3月・6月・9月・12月の年4回、各月4日の夜から11日未明まで開かれることが多いイベントです。お買い物マラソンもほぼ毎月開かれるため、楽天の店舗運営には「イベントのない静かな月」がほとんどありません。
切り替え日はスーパーSALEの翌月前半に置く
現実的な切り替え日は、スーパーSALEが終わった翌月の前半です。たとえば9月のスーパーSALEが終わった後なら、10月上旬に新しい会社へ運用を切り替えると、12月のスーパーSALEまで約2か月の準備期間を確保できます。
スーパーSALEの準備は、商品の選定やクーポンの設計を含めて開催の6〜8週間前から始まるのが一般的です。切り替えがイベントの1か月前を切ると、新しい会社が店舗の状況をつかむ前に準備の締め切りが来てしまいます。
解約予告の期限から逆算する
切り替え日が決まったら、解約予告の期限から逆算して、旧会社への申し出の日を確定させるのが次の手順です。解約予告が2か月前までの契約で10月上旬に切り替えるなら、8月上旬には申し出る必要があります。
申し出から終了までの期間は、旧会社にとっても引き継ぎの準備期間として使われます。期限ぎりぎりで伝えるより、余裕を持って伝えたほうが、資料の受け渡しにも協力を得やすいでしょう。
繁忙期の物流と重ならないようにする
11月から12月は、ブラックフライデーや年末商戦で受注が増え、出荷やお問い合わせ対応の負荷が高まる時期です。受注処理まで運営代行に任せている店舗が、この時期に担当会社を替えると、出荷遅れやお問い合わせへの返信漏れが起きやすくなります。
受注や顧客対応まで委託範囲に含む場合は、繁忙期を避けて1月から2月に切り替える選択肢もあります。商品ページの制作や広告運用だけを任せている場合と比べ、業務の切り替えに時間がかかるからです。
関連記事:楽天スーパーSALEの売上対策|事前8週間から当日運用・終了後までの全手順
乗り換えの手順|90日のスケジュール例
楽天運営代行の乗り換えは、新しい会社の選定から旧会社との契約終了までを、約90日で進めるのが現実的な目安です。ここでは、切り替え日を基準に、その前後で何をするかを4つの期間に分けて整理します。
以下のスケジュールは、解約予告が1か月前までの契約を想定しています。予告期間が2〜3か月の契約では、1つ目と2つ目の期間を前倒しして読み替えてください。
切り替え90〜60日前:現状の整理と候補探し
最初の30日で、今の契約書の確認、引き継ぐ資産の棚卸し、新しい会社に求める条件の整理を済ませるのが目標です。求める条件は、業務範囲、月額予算、成果の指標、報告の頻度の4点を文書にしておくと、候補の会社を同じ物差しで比べられます。
候補は2〜3社に絞り、面談では現状のRMSのデータを見せたうえで、最初の3か月に何をするかを提案してもらいます。提案の中身が店舗の数字に基づいているかどうかが、比較の決め手になるはずです。
切り替え60〜30日前:新しい会社の決定と解約の申し出
新しい会社と契約内容を固めたら、旧会社へ解約を申し出ます。新しい会社との契約が確定する前に解約を伝えると、どちらの会社も動けない空白期間が生まれるおそれがあるため、順番を逆にしないことが肝心です。
解約の申し出と同時に、棚卸しの一覧を旧会社に渡し、引き渡しの期限を決めます。新しい会社へのR-Loginの権限付与は、契約の発効日を確認してから行うのが安全です。
切り替え30日前〜当日:並行期間と引き継ぎ会議
最後の1か月は、旧会社と新しい会社が並行して関わる期間です。旧会社から新しい会社への引き継ぎ会議を1〜2回設け、RPP広告の運用方針、進行中のイベント準備、未対応のお問い合わせを口頭と資料の両方で共有します。
並行期間は、両方の会社に費用が発生する点も見込んでおく必要があります。月額20万円の契約なら、並行期間を1か月取ると約20万円の追加費用になりますが、引き継ぎ漏れによる売上の落ち込みと比べれば安い保険といえます。
切り替え後30日:権限の整理と初回の振り返り
切り替え日を過ぎたら、旧会社のユーザーを削除し、外部の広告アカウントやツールの権限も外すのが最初の作業です。新しい会社には最初の月次レポートで、引き継いだ施策のうち継続するもの・止めるもの・新しく始めるものを示してもらいます。
最初の30日は、大きなページの改修より、引き継いだ運用を止めずに回すことが優先です。切り替え直後の1か月で成果を急がず、前年同月と前月の数字を並べて落ち込みがないかを確かめる期間と位置づけると、判断を誤りにくくなります。
委託範囲別に見る引き継ぎのポイント
引き継ぎで手間がかかる箇所は、今の運営代行会社にどこまでの業務を任せているかで変わるのが実情です。委託の形を作業代行型・広告特化型・総合支援型の3つに分けて、それぞれで重点的に確認すべき点を整理します。
自社の契約がどの型に近いかは、月次の請求書に並ぶ作業項目を見ると判断できます。請求の内訳が「商品登録◯件」「バナー制作◯点」のように作業単位なら作業代行型、「広告運用費」が中心なら広告特化型と考えてよいでしょう。
作業代行型:作業手順書と納品物の保管場所
商品登録やページ更新、受注処理などの定型作業を任せている場合、引き継ぎの中心は作業の手順と納品物です。旧会社が独自に作っていた作業手順書や、商品登録用のCSVの雛形がないと、新しい会社は同じ品質で作業を再現できません。
作業代行型の乗り換えでは、1か月分の作業記録を受け取り、どの作業に何時間かかっていたかを把握しておくと便利です。作業量の実績がわかれば、新しい会社の見積もりが妥当かどうかを、感覚ではなく時間と件数で判断できます。
広告特化型:運用の履歴と判断の基準
RPP広告やクーポンアドバンス広告などの運用だけを任せている場合、引き継ぎの中心は運用の履歴と判断の基準です。どの時期にどのキーワードの入札を上げ下げしたのか、その判断に使った目標値は何だったのかを、月単位でまとめてもらいます。
広告の目標値は、売上に対する広告費の割合や、広告費1円あたりの売上で示されることが一般的です。旧会社と新しい会社で目標値の定義が違うと、同じ数字を見ても評価が食い違うため、引き継ぎ会議で定義をそろえておく必要があります。
総合支援型:意思決定の経緯と年間計画
戦略の立案から実務までを一括で任せている総合支援型は、引き継ぐ情報の量が最も多い形です。作業や広告の記録に加えて、なぜその商品を主力にしたのか、どのイベントに力を入れてきたのかといった意思決定の経緯を受け取る必要があります。
年間の販促計画や商品ごとの在庫計画も、旧会社の頭の中にしかないケースがあります。総合支援型の乗り換えでは、少なくとも次の2回のイベントまでの計画を文書で受け取ってから契約を終えると、新しい会社が計画を引き継ぎやすくなるでしょう。
乗り換えを社内で進める体制と役割分担
乗り換えは、運営代行会社どうしのやりとりだけでは完結しません。店舗側にも、旧会社との交渉、新しい会社との調整、社内の承認をまとめる窓口役が1人必要です。
窓口役がいないまま進めると、旧会社と新しい会社がそれぞれ別の社員に連絡し、指示が食い違う事態が起こりがちです。乗り換えの期間中は、窓口を1人に固定し、両社からの連絡をすべてその人に集める形が混乱を防ぎます。
経営者・担当者・経理の役割
経営者は、乗り換えの判断と新しい会社の最終決定、予算の承認を担います。現場の担当者は、資産の棚卸しや引き継ぎ会議の運営、切り替え後の数字の確認を受け持つのが一般的です。
経理の担当者には、並行期間の二重の費用、旧会社への最終の支払い、新しい会社の初期費用の時期を共有しておきます。支払いの時期が重なる月は資金繰りにも影響するため、乗り換えの計画と同時に支払いの予定表を作っておくと安心でしょう。
引き継ぎ会議の進め方
引き継ぎ会議は、旧会社・新しい会社・店舗の三者で、1回60〜90分を目安に開くのが一般的です。議題は、進行中の施策、広告の運用方針、未対応の案件、引き渡す資料の確認の4つに絞ると、時間内に終わらせやすくなります。
会議の内容は、店舗側が議事録を作り、三者で共有します。口頭で伝えた内容は担当者の記憶にしか残らないため、引き継ぎの約束ごとは文書に残し、後から確認できる状態にしておくことが大前提です。
新しい運営代行会社の選び方と面談で確認すること
乗り換え先を選ぶときは、前の会社で不満だった点を裏返した条件を最優先にするのが近道です。提案が少なかったのなら提案の頻度と中身を、担当者の交代に悩んだのなら担当体制を、最初に確かめるべき条件に据えます。
楽天の運営代行会社を比較する資料では、初期費用、最低契約期間、料金体系、対応できる業務、対応モール、実績、業歴の7項目が比較軸として一般的です。乗り換えの場合は、ここに「引き継ぎへの対応力」を加えて8項目で比べると、立ち上がりの速さまで見通せます。
引き継ぎの進め方を具体的に説明できるか
面談では、他社からの乗り換えを何件受けたことがあるか、引き継ぎの最初の30日に何をするかを尋ねます。答えが「まずは現状を分析します」だけで終わる会社より、確認する資料や権限、旧会社との会議の段取りまで具体的に話せる会社のほうが安心です。
過去の乗り換え案件で、切り替え直後に売上が落ちたケースがあったかどうかも聞いてみてください。失敗の経験とその対策を率直に話せるかどうかで、運営の誠実さが見えてきます。
楽天固有の運用を任せられるか
楽天の運営では、RPP広告の入札、イベントごとのクーポン設計、楽天市場の検索への対策、レビューの集め方など、ほかのモールとは異なる知識が必要になる点が特徴です。楽天以外のモールが中心の会社に依頼すると、楽天特有の施策の提案が手薄になる場合があります。
確認の方法として、直近のスーパーSALEで支援先に提案した施策を、守秘の範囲で説明してもらうのが有効です。説明が一般論で終わる場合は、楽天の実務経験が浅い可能性を疑ってよいでしょう。
見積もりは立ち上げ期間の作業を含めて比べる
乗り換え先の見積もりを比べるときは、月額だけでなく、最初の1〜2か月の立ち上げ期間に何が含まれるかを確認します。現状の分析、旧会社との引き継ぎ会議への参加、RMSや広告の設定の確認が月額に含まれる会社もあれば、初期費用として別に請求する会社もあるからです。
立ち上げ期間の作業が見積もりに含まれていないと、契約後に追加費用が発生し、比較の前提が崩れてしまいます。候補の会社には、同じ条件書を渡したうえで、立ち上げ期間の作業内容と費用を分けて書いた見積もりを依頼すると、横並びで比べやすくなるでしょう。
契約の終わり方まで最初に決めておく
今回の乗り換えで苦労した点は、次の契約で先回りして防げます。新しい契約書では、解約予告の期間、制作物の権利の帰属、データの返却・消去、権限の削除の時期を、契約を始める段階で決めておくのが賢明です。
「終わり方を決めておく」と聞くと縁起が悪く感じるかもしれません。それでも、終わり方が明確な契約ほど、店舗と運営代行会社の双方が安心して長く付き合えます。
関連記事:楽天運営代行の費用相場と選び方|失敗しない比較の判断軸
乗り換え直後に売上を落とさない運用の注意点
乗り換え直後の売上の落ち込みは、引き継ぎ漏れよりも、新しい会社が成果を急いで設定を一度に変えすぎることから起きる場合が目立ちます。最初の1〜2か月は、うまくいっている運用を維持し、変更は1つずつ効果を確かめながら進めるのが原則です。
楽天の検索順位は、商品ページの内容だけでなく、売上やレビューの実績にも左右される仕組みです。乗り換えを機に商品名やページを大きく作り替えると、順位が一時的に下がり、立て直しに数か月かかるケースもあります。
RPP広告は入札単価を急に変えない
RPP広告は、キーワードごとの入札単価や予算の上限を変えると、表示回数や費用対効果がすぐに変わる広告です。新しい会社が引き継いだ直後に入札単価を一斉に見直すと、それまで売上を支えていたキーワードの表示が減ってしまうおそれがあります。
引き継ぎ後の最初の2週間は、旧会社の設定を維持したまま、キーワードごとの広告費と売上を記録するのが安全です。そのうえで、広告費に対する売上の比率が低いキーワードから順に調整すると、全体の売上を保ちながら改善できます。
レビュー返信とお問い合わせ対応を途切れさせない
レビューへの返信やお問い合わせへの対応は、担当が替わる数日の間に滞りやすい業務です。返信の遅れはショップの評価やリピート購入に直結するため、並行期間中に「誰が・いつから」対応するかを日付単位で決めておきます。
返信の定型文や過去の対応履歴が引き継がれていないと、同じ顧客に違う説明をしてしまう事態も起こりえます。旧会社の定型文をそのまま使うか書き直すかは、引き継ぎから1か月ほどたってから判断しても遅くありません。
前年同月と前月の両方で数字を見る
切り替え後の数字は、前月だけでなく前年同月とも比べて判断します。季節の変動が大きい商材では、前月比だけを見ると、実際には好調なのに落ち込んだように見えたり、その逆が起きたりするからです。
売上をアクセス数・転換率・客単価に分けて比べると、落ち込みの原因が広告なのか商品ページなのかを切り分けられるでしょう。売上が前年同月より1割以上下がった月は、新しい会社と原因を確認する臨時の打ち合わせを設けるルールにしておくと、対応の遅れを防げます。
関連記事:楽天RPP広告とは?仕組み・設定方法・ROAS目標・キーワード戦略・最適化コツを実践解説
乗り換えにかかる費用の目安と回収の考え方
乗り換えには、月額費用の差だけでなく、並行期間の二重の費用や新しい会社の初期費用など、一時的な出費が伴います。乗り換えるかどうかを判断する前に、追加でかかる費用と、それを回収するために必要な売上の伸びを試算しておくと、判断に迷いません。
楽天の運営代行の費用は月額10万〜30万円の範囲が中心で、初期費用を設けている会社も珍しくありません。業務範囲を広げて乗り換える場合は、月額が上がることも前提に計画を立てます。
試算の例:月商500万円の店舗の場合
月商500万円の店舗が、月額20万円の旧会社から、初期費用10万円・月額25万円の新しい会社に乗り換えるケースで考えます。並行期間を1か月取ると、旧会社の1か月分20万円と初期費用10万円で、一時的な負担は30万円です。
月額の差5万円は、1年間で60万円になります。一時的な負担30万円と合わせた90万円を粗利率30%で回収するには、年間300万円、月平均25万円の売上の上積みが必要で、月商の5%にあたる計算です。
回収の目安を新しい会社と共有する
試算で出た「月商の5%」のような数字は、新しい会社に最初の面談で伝えておくと、提案の現実味を測る物差しになります。月商の5%を1年で上積みする道筋を、具体的な施策と時期で説明できるかどうかで、提案の質を比べられます。
乗り換えの判断は、月額の安さではなく、追加の費用を何か月で回収できる見込みがあるかで考えるのが合理的です。回収の見込みが立たない場合は、乗り換えより先に、今の会社との業務範囲の見直しを検討する余地があります。
月商規模別に見る乗り換えの考え方
乗り換えで重視すべき点は、店舗の月商規模によっても左右される点に注意が必要です。同じ「不満がある」状態でも、月商100万円の店舗と月商1,000万円の店舗では、選ぶべき依頼先の形や引き継ぎの重さが異なります。
規模が小さいうちは費用の比重が大きく、規模が大きくなるほど引き継ぎの失敗による損失が大きくなります。自社の規模に合わせて、何を優先するかを決めておくと、乗り換え先の比較がぶれません。
月商300万円未満:委託範囲を絞って費用を抑える
月商300万円未満の店舗では、運営代行の月額が売上に占める割合が高くなりがちです。月額20万円の契約は、月商200万円の店舗にとって売上の1割にあたり、広告費や楽天の手数料を合わせると利益が残りにくい水準といえます。
この規模では、全業務を任せる総合支援型から、広告運用やイベント準備など成果に直結する業務だけを任せる形へ切り替える選択肢も検討に値します。社内で回せる作業を店舗に戻すことで、費用を抑えながらノウハウを社内に蓄積できるからです。
月商1,000万円以上:引き継ぎの品質を最優先にする
月商1,000万円を超える店舗では、引き継ぎの混乱で売上が1割落ちるだけでも、月100万円の損失につながります。この規模では、月額の差よりも、引き継ぎの段取りと並行期間を十分に確保することのほうが重要度が高くなるでしょう。
並行期間を2か月に延ばす、引き継ぎ会議を複数回設けるといった手厚い進め方も、損失の大きさを考えれば十分に見合うはずです。スーパーSALEの売上が年間売上の大きな割合を占める店舗なら、切り替え日の選定にも一段と慎重さが求められます。
乗り換えでよくある失敗と対策
乗り換えの失敗は、旧会社との関係がこじれることより、店舗側の準備不足から起きることが大半です。現場でよく見られる4つの失敗と、それぞれを防ぐ手立てを整理しておきます。
どの失敗も、乗り換えの直前になって慌てて動いたことが共通の原因です。90日前から計画的に動けば、大半は防げるでしょう。
解約を先に伝えて空白期間ができる
旧会社への不満が強いと、新しい会社が決まる前に解約を伝えてしまいがちです。しかし、後任が決まらないまま契約が終わると、イベントの準備や広告の運用を店舗だけで回さなければならない期間が生まれます。
対策は、新しい会社と契約を結んでから解約を申し出る順番を守ることです。どうしても先に解約したい事情があるなら、少なくとも広告運用とお問い合わせ対応を誰が担うかを決めてから伝えてください。
画像の元データが手元に残らない
商品画像やバナーは、RMSには完成品しか残っていないケースがほとんどです。元データがないと、文字の修正や季節ごとの差し替えのたびに、新しい会社がゼロから作り直すことになります。
そのため、解約の申し出と同時に、画像の元データの引き渡しを依頼しておきます。制作物の権利が旧会社に残る契約なら、引き続き使える範囲を書面で確認しておくと後のトラブルを避けられるはずです。
旧会社のIDや権限が残ったままになる
切り替え後に旧会社のユーザーIDや外部ツールの権限を削除し忘れ、数か月後に気づくケースは後を絶ちません。悪意がなくても、退いた会社がいつでも店舗の管理画面に入れる状態は、情報管理の面で大きなリスクです。
切り替え日の当日に削除するIDとアカウントの一覧を事前に作っておき、削除の作業を予定表に入れておくのが基本です。削除後は一覧に実施日を記録し、四半期ごとの権限の見直しで再確認すると漏れを防げます。
新しい会社への期待が高すぎる
乗り換え直後は、前の会社への不満の反動で、新しい会社に短期間での大きな成果を求めてしまうことがあります。とはいえ、店舗の状況を把握して最初の施策の結果が出るまでには、少なくとも3か月はかかるのが実情です。
契約の最初に、3か月・6か月・12か月の時点で何を達成していれば合格とするかを合意しておくと、評価のぶれを防げます。たとえば、3か月目は運用の安定と課題の特定、6か月目は転換率の改善、12か月目は前年比の売上というように、段階ごとに指標を変えるのが現実的です。
TSUMUGUの強みと向いている事業者
運営代行の乗り換えを検討している店舗にとって、次の依頼先選びは「同じ失敗を繰り返さないか」が最大の関心事でしょう。判断材料の1つとして、TSUMUGUの支援の特徴と、向いている事業者・向いていない事業者を正直にお伝えします。
TSUMUGUは、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングと自社EC(Shopify等)の運営を支援し、なかでも自社ECの成長を重視しています。楽天の運営代行でも、楽天の中だけで売上を最大化するのではなく、自社ECを含めた販路全体で利益が残る形を一緒に考える点が特徴です。
年商5億円未満の店舗に伴走し、ノウハウを残す
支援の中心は、立ち上げ期から年商5億円未満までの事業者です。作業を代わりに担うだけでなく、施策の意図や数字の見方を店舗側に共有し、社内に運営のノウハウが残る進め方を大切にしています。
集客からCVR(購入転換率)、リピート率の改善までを一気通貫で支援するため、イベント対応だけに偏らない改善提案を出せる体制です。引き継ぎの際も、旧会社の運用のうち成果が出ているものは残し、変更は数字で確かめながら1つずつ進めます。
向いていない事業者
一方で、越境ECに特化した支援や、作業単価の安さだけを最優先に比較している店舗には、TSUMUGUよりも適した依頼先があるかもしれません。商品登録や受注処理などの定型作業をできるだけ安く外注したい場合は、作業特化型の代行会社のほうが費用を抑えられます。
依頼先を比べる際は、TSUMUGUを含む複数の会社に同じ条件を伝え、引き継ぎの進め方と最初の3か月の計画を比べてみてください。提案の中身を並べると、自社に合う依頼先が見えてきます。
よくある質問
Q:楽天運営代行の乗り換えには、どのくらいの期間がかかりますか?
A:新しい会社の選定から旧会社の契約終了まで、約90日を見込むのが目安です。解約予告の期間が2〜3か月の契約では、その分だけ前倒しで準備を始めます。
Q:乗り換えると楽天の検索順位は下がりますか?
A:担当会社が替わるだけでは順位は変わりません。順位が下がるのは、商品名やページを一度に大きく変えた場合が中心のため、切り替え直後の変更は1つずつ効果を確かめながら進めます。
Q:旧会社が作った商品画像は乗り換え後も使えますか?
A:契約で制作物の権利が店舗に移っていれば使えます。取り決めがない場合は制作した会社に権利が残るのが原則のため、使い続けたい画像の一覧を示して書面で合意を取ってください。
Q:RPP広告の設定や実績は引き継げますか?
A:RPP広告の設定と実績は店舗のRMSに残るため、新しい会社もそのまま確認できます。設定の意図までは管理画面に残らないので、入札単価や除外キーワードを決めた理由を旧会社から文書で受け取ります。
Q:旧会社と新しい会社の並行期間は必要ですか?
A:1か月程度の並行期間を取ると、引き継ぎ漏れを防ぎやすくなります。並行期間中は設定の変更を新しい会社に一本化し、旧会社は説明と資料の受け渡しに専念してもらいます。
Q:乗り換えに向いている時期はいつですか?
A:楽天スーパーSALEが終わった翌月の前半が目安です。受注や顧客対応まで委託している場合は、11〜12月の繁忙期を避けて1〜2月に切り替える選択肢もあります。
Q:乗り換えずに今の運営代行会社と改善する方法はありますか?
A:期待する成果と業務範囲を文書にまとめ、3か月の改善計画を合意する方法があります。期限までに基準に届かなければ、その事実を根拠に乗り換えを判断できます。
Q:旧会社がデータの引き渡しに応じてくれない場合はどうすればよいですか?
A:まず契約書のデータ返却に関する条項を確認し、根拠の条文を示して書面で依頼します。それでも解決しない場合は、契約に詳しい弁護士への相談を検討してください。
Q:新しい会社には、旧会社への不満をどこまで伝えるべきですか?
A:感情的な評価ではなく、どの業務で何が不足していたかを具体的に伝えるのが有効です。不満の内容は新しい会社に求める条件そのものなので、契約前の面談で共有しておくと提案の精度が上がります。
まとめ
楽天運営代行の乗り換えは、契約条件の確認、資産の棚卸し、R-Loginの権限移行、販促カレンダーに合わせた切り替えの順に進めると、売上の落ち込みを抑えられます。まずは今の契約書で解約予告の期限と制作物の扱いを確かめ、引き継ぐ資産の一覧づくりから始めてみてください。
「新しい依頼先に何を求めればよいか整理できない」「引き継ぎ後の数字を誰と確認すればよいかわからない」といったご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。TSUMUGUでは、楽天市場の運営代行サービスを提供しています。→ まずは相談する(無料)



























